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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: ( No.3 )
- 日時: 2011/01/31 16:45
- 名前: 刻鎖 ◆4PE6.BwxWY (ID: 9yCTBNZC)
- プロフ: ※観覧注意
「君は、僕に繋ぎとめていたはずだった。でも、いつの間にか君は逃げていた。僕は必死に君を捕まえて、また鎖に繋いでやろうと思った。……だけど、結局僕は君を捕まえることができなかったんだ」
冬の屋上。俺たちに吹きつける風は冷たい。目の前の少年が、意味の分からないことを言い出しても、「今日は風がうるさいな」とふと思っただけだった。
「だから、僕はもう、諦めるよ」
少年が、屋上の柵を飛び越えようとした。
「ばっ! 何してんだ!!」
慌てて少年を掴まえようと、駆け寄った。だが、もう少年の足は浮いていて。
——それからは、まるでスローモーションだった。
少年は俺の手をぐいっと引っ張り、俺は少年と一緒に宙を舞った。
「 つ か ま え た 」
少年は不気味に笑うと、俺に尋ねてきた。
「ねえ、なんで君は僕の鎖から逃げられたのかなあ」
「…………それ……は、」
( もうとっくにお前の鎖なんて錆びてたんだよ )
そう言おうとしたところで、俺の意識は途絶えた。
最後に、誰かの悲鳴を、聞いた気がした。
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