BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: _____The wound loses if cured ( No.162 )
日時: 2010/12/31 11:46
名前: 刻鎖 ◆KokuskA/To (ID: 9yCTBNZC)

 ※微グロ注意


■歪




「——いったい、ここはどこでしょう?」

 見たこともない真っ白な天井が見えました。ふかふかのベットのなかで、姫は眠っていました。
 いつもの木の匂いはしません。いつもの布団ではありません。
 姫は上半身を起こそうとしました。……すると、突然足に痛みが走りました。
 見ると、彼女の足はありませんでした。膝から下は、ありませんでした。

「ひ……っ!」

 姫は悲鳴を上げます。

 すると、金色の髪の女の人が現れました。


「姫、お目覚めになりましたか?」


 でも、姫はその女性の言葉は耳に届いていませんでした。その女性の姿さえ、見ることはできませんでした。
 姫は、さきほどまでの出来事を思い出します。

 たしか、月の使いが姫を連れ戻しにきたのです。そして、その後姫は気絶したのです。


「貴女は今からわたくしどものものでございます」

 やっと女性の存在に気づきます。

「……どういうことです?」

 姫は女性を睨みつけました。
 女性は姫を見、鼻で笑います。

「そのままの意味です。貴女ほど美しいお方は、わたくしの国の皇子と結婚していただきます」

 姫は自分の足を指差し、怒鳴りつけました。

「逃げられないようにこんなことをしたのですか!?」
「姫。立場を分かっておられないようですが」

 女性は低い声で言いました。

「貴女が結婚を断れば——貴女がわたくしたちを受け入れなければ。貴女の大切な爺さまと婆さまが死ぬのですよ?」
「!?」

 ——なんと卑怯な、姫は叫びそうになりましたが、その言葉を飲み込みます。


「……その話」

 女性はくすりと微笑みます。
 姫は唇を噛み締めながらいいました。

「受け入れましょう」



 * *


 竹取物語のかぐや姫。