BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: _____The wound loses if cured ( No.171 )
- 日時: 2011/01/03 18:54
- 名前: 刻鎖 ◆5vrEZhKdMI (ID: 9yCTBNZC)
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グレイの家は、かなり広いほうだった。庭もついていたし、3階建て。それでもお金持ちのルーシィにしてみれば普通の家で、特に驚くこともなくあがった。……いや、驚く暇がなかった。ルーシィはずっと泣いていたのだから。
グレイがナツを追っ払ったあと、ルーシィは思いっきり泣いた。
そのまま帰る予定だったグレイも、さすがに泣いた少女を放っておくわけにも行かない。何より女の涙には弱かった。彼女の家に送るだけでも別によかったのだが、ちょっとした罪悪感が生まれるだけだ。グレイはルーシィを家に誘った。
リビングで椅子に座り、ホットココアを飲ませてもらいながら、ルーシィはぼーっとグレイを眺めていた。グレイはグレイでルーシィを眺めていたため、いつの間にか見つめあうかたちとなっていた。
先にそのことに気づいたのはグレイのほうで、さすがに気まずかったのだろう。そこにあったリモコンに手を伸ばし、無理矢理ルーシィから視線をずらしてバラエティ番組をつけた。もう辺りは真っ暗で、少女1人で帰らせるのは危険である。でもいつまでもここにいるわけにはいかない、年頃の男女が朝まで一緒にいたら、いくら自分でもそれは無理だ。
「……あの」
1人でごたごた考え込んでいると、彼女がグレイに話しかけてきた。
「さっきはありがとうございました」
もう涙はやんだがまだ目は赤く、グレイは自然と見とれてしまっていた。だが、彼女の一言で我にかえる。
「お名前を……教えていただけませんか?」
「…………おう」
グレイは頬をぽりぽりと掻いた。
「グレイ・フルバスター。3年生だ。……お前のことも聞いておくか?」
「……ルーシィ。2年生です」
ルーシィは、あえてファミリーネームを言わなかった。それはその言葉を口にしたくないなど、そういう理由ではなく、ただ知られると後で面倒なことになりそうだと思っただけだった。
「ンじゃ、よろしくなルーシィ」
当のグレイはファミリーネームのことは気にもせず、笑顔でそう言った。
ルーシィはまた少し泣きそうになったが、心配させてしまう、とぐっとこらえてココアを飲み干した。