BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: _____The wound loses if cured ( No.216 )
日時: 2011/01/12 14:19
名前: 刻鎖 ◆KokuskA/To (ID: 9yCTBNZC)

 ところでなんか>>111のことすっかり忘れてたんでお詫びです。
 結構短いですが、どぞ。


■endearment



「…………かーらーすー、なぜなくのー」

 歌が——聞こえた。
 空から。空から。



 私の、真上から。


「っ、ロード!!」
「しーっ、騒いだらみんな消しちゃうかもよぉ」

 こういうときは、フリをするんだ。
 ——仕方ない、って言うフリ。

「…………なんでここに入れたの?」

 じゃなきゃ、じゃなきゃロードが帰ってしまうもの。

 2人でいるためには。


「ここはねぇ、リナリーの夢の中だよぉ」

 衝撃的な台詞に、言葉を詰まらせるリナリー。

「夢……?」

 彼女のノアなら、他人(ひと)の夢の中に入れるのだろうか。
 リナリーはぼんやり納得した。
 ロードは、「だからぁ」——そう言ってどこからかきたカラスを素手で捕まえて、リナリーのほうへ投げつけた。

「きゃあっ!!」
「こーんなこともできちゃうわけぇ」

 カラスは、真っ直ぐリナリーへと飛んできた、かと思うと、攻撃的に鋭く一声鳴くと、リナリーを思い切りつつき始めた。

 ——痛い。
 ——ものすごく。

 カラス相手にイノセンスを使うわけにもいかないが、猛スピードで逃げるくらいなら使ってもいいんじゃないか——リナリーはそう考えた。前に、カラスに襲われると死ぬ危険性があると聞いたことがあった。——命の危機だ。

「イノセンス……発動……っ」

 既に細い腕からは1筋血が流れてる。

 早く痛みから逃れたいと、声を振り絞る。
 ……が。

「え——」
「無駄無駄ぁ」

 きゃははは、
 ロードは笑っていた。

 でも。
 悔しかったが、憎しみは生まれなかった。



 * *



「あ……あれ…………?」

 目が覚めると、そこはベットの上。
 静かだった。

「夢? ——っ!!」

 右腕に激痛が走った。
 見るとそれは————、




 *愛の証





 endearment。

 リナリーの血でそう書かれていた。







 * *

 endearment=愛情表現。