BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: _____The wound loses if cured ( No.228 )
日時: 2011/01/16 16:04
名前: 刻鎖 ◆KokuskA/To (ID: 9yCTBNZC)

「サイコー」

 こいつはこの頃おかしい。いつも少年誌読んでたりネーム考えてたり香耶とどっかふらついてきたりするはずなのに。俺の知らない本を買ってきて、そればかり読んでる。前、気になったから読んでみたが、男同士の恋愛を描いたものだったから驚いた。
 そしてへらへら笑って何を言い出すかと思えば、
「俺のこと好きか?」
なんて言ってくる。何を言っているんだ、お前には香耶という妻がいて、俺には亜豆という婚約者(?)がいる。……ああ、そうか。こいつの〝好き〟に特に理由などないことを、俺はずっと前から知っていたはずだ。でも、こいつの読んでいた本を読んでしまった俺はどう答えればいい? もし、こいつの言葉が〝本気〟だったら?
 ぐるぐると俺の頭の中に浮かび上がる疑問は、シュージンの一言でぼん、と消えた。——というより、何も考えられなくなっていたといったほうが正しいだろうか。

「俺は、お前が好きだ。お前は、俺をどう思ってる」
「いきなり、何言ってんだよ……」

 俺は思わず身を引いた。こいつ、正気か? そういえば、いきなりではない、前から言っていた。あの時は気持ち悪い、で流してたけど、今はどう流せばいいのか分からない。困惑しはじめた俺を見て、シュージンは言った。

「本当じゃなくていい。嘘でいいから、好きだって、言って?」






( 例えそれが偽りの愛でも )


 一瞬だけでも勘違いさせてよ。