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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: _____噫、嗚呼。 ( No.263 )
- 日時: 2011/05/21 17:07
- 名前: 刻鎖 ◆KokusaMmOM (ID: vcreLc9n)
- プロフ: 沖←神←土、みたいなね
「神楽先輩って、沖田先輩と付き合ってるんじゃないんですか」
廊下を歩いていたら、突然2年生に声をかけられた。2年生は、神楽と土方を交互に見、また神楽に視線を戻す。
「………………は、」
一瞬、神楽は固まった。
なぜ急にそんなことを問われねばならないのだろうか。土方と並んで廊下を歩いていたから? イチャイチャしてるようにでも見えたのか?
いや、それは問題じゃない。問題だけど、今はそんなことよりも————。
「なんで、私がサドと……?」
はっきりそう言ったつもりだった。だが、その2年生には聞こえなかったようで。
「なに土方先輩とイチャついてるんですかー。浮気なんかしちゃだめですよー」
——せっかく沖田先輩がいるのに。
そう言って可愛らしく笑い、その2年生はパタパタと廊下を走っていった。
「————、」
まだ少し放心状態の神楽。その隣で、先ほどのやり取りを見た土方。……流石に気まずい。今はもう放課後のため、廊下には神楽と土方以外誰もいない。その静かさが、より2人を気まずくさせている。10秒ほどのわずかな沈黙があった。土方にとってその10秒は、かなり長く感じられたが。
沈黙を破ったのは神楽。我に返ったらしい。
沈黙を破ったといっても、単なる独り言を呟いただけだが。
「——だといいアルナ」
下を向いて、ぼそりと放ったその一言。
その言葉の意味の重さを知っている土方は、聞こえないフリをする。
「……コンビニ寄って帰るか」
そう言って、話題を振った。
顔を上げ、神楽はさっきとは打って変わった表情をする。万遍の笑みだ。
「パン、1つでいいから買ってヨ」
「了解した」
( 気づかないフリ )
——気づきたくないだけ。
——認めたくないだけなんだ。
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