BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【オリ/狂愛Butterflup】黒猫の幻想曲【※ヤンデレ】 ( No.57 )
日時: 2010/11/07 16:44
名前: 刻鎖 ◆4PE6.BwxWY (ID: aYwQGfB6)

 ヤバイ、狂愛ハマった。
 お題の〝檻姫なんて愛称つけて〟から。



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▼狂愛†Poisonous Butterfly 〜ヤンでる〜



「雅ちゃんっ!」
「愛沢……さん?」

 ——嬉しかった。
 普段存在感が薄くて、暗い……独りぼっちな私に、初めて声をかけてくれたから。

「今日の放課後さっ、何か予定……ある?」

 ——そう、初めて声をかけてくれた、「優しい愛沢さん」。
 本当は塾があったんだけど、

「な、何にも予定……ないよ」

 つい、そう答えてしまっていたんだ。




 ————



 ——目を開けると、冷んやりしたモノが、私の体に触った。
 驚いて辺りを見回す。


 私は、まるで猛獣用の檻のようなものの中にいた。


 そして、

  目 の 前 に は 、 愛 沢 さ ん が に っ こ り 笑 っ て 立 っ て い た 。


「あ、い沢……さん……?」
「どうしたの? 雅ちゃん」

 この檻の外側にいる愛沢さんに、一瞬寒気を感じたけれど、愛沢さんの声はいつもと同じで……安心した。

「愛沢さんっ、これ……出してください……っ」
「どうしたの? そんなに慌てて……」

 愛沢さんは、この檻のものだろうと思われる鍵をポケットからだして、私のほうへ近づいてきた。
 私が慌てている理由、それは……塾だった。
 サボったことで塾のクラスが下がったら、お母さんはなんていうだろう……。

 ——……だけど、そのことは愛沢さんには言えない。


 そのまま、愛沢さんはわたしの入っている檻の前に座って、見せびらかすかのように鍵を檻の外でぷらぷらと揺らしてみせた。
 そして、愛沢さんは、さっきの質問を繰り返す。

「どうしたの? そんなに慌てて」

 ……何故か、無表情な彼女が突然恐ろしく感じた。
 言わなきゃ。
 そう思っても、まるで喉が塞がっているみたいに声が出ない。


「——どうしたの? そんなに慌てて」


 さっきまでの声とは全然違った。


「……ひ……っ!」

 私は、愛沢さんから逃げたい……と、無意識のうちに考えていた。
 気づかないうちに後ずさりをしていたのか、かしゃっ、と音がして、私の背中が後ろの鉄に当たる。
 ……高さ1メートル、横幅1,5メートル、奥行1メートルほどの小さな檻。
 逃げようにも、逃げることができない。

「雅ちゃん。何で、答えてくれないの?」

(——……あ)

 もう、これを答えなければ、ここから出してもらえないんだ。

「こ、これから……塾……なの、っ」

(——ああ、やっと開放される)

 ……でも、もう愛沢さんは、明るくて優しい、あの愛沢さんではなかった。


「——……なんで、嘘ついたの?」

「え、……」


 愛沢さんは、檻の外で揺らしていた鍵をポケットにしまうと、

 そ の ポ ケ ッ ト か ら 包 丁 を — — … … 。






「これから、雅ちゃんにはずっとここにいてもらうことにしたの」

 ……嗚呼、

「嬉しいでしょ。だから、愛称つけようと思うんだっ!」

 彼女は、

「檻姫……あはっ、我ながらいいネーミングセンスっ!」

 もう、

「これからよろしくね。
        檻姫?」

 ——ヤンでる。