BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re:  お正月企画 //薔薇百合作品(オリ版権問わず)募集中!! ( No.138 )
日時: 2011/01/09 22:11
名前: ヴィオラ (ID: 6PSxBKjg)



       〜富士山〜


冬休みになって神奈川は実家へ帰ることになった
大変な大騒ぎがあったわけでもないのだがここ半年ほど実家へ帰る機会というのがなかったので親が心配してクリスマスに『帰ってきなさい』と学校に電話までも掛けてきたので大晦日に帰ることになったのだ、正直兵庫とか他の寮の先輩や後輩・・・クラスメートとは離れたくなかったのだがとりあえず親が学校にまで押しかけて来るという大変な事件を作りたかったからか神奈川は今、電車に揺られていた。                                       少しだけ地味な二つ結びと綺麗な瞳—
兵庫のことが頭の中から離れない・・・あの『ファーストキス事件』をまだ覚えているという神奈川は溜息をするしかなかったのだった、恋って告白されても恋をしても・・・やっぱりつらいものだということは知っていた


「・・・あ、富士山。」

今日は綺麗な晴天だったからか富士山が一部だけだが見えた
寂しそうな兵庫や東京ちゃんや千葉などのことを考えれば『元気ですよ〜』と元旦に手紙でも書こうかなと思った、富士山が見えるし・・・

富士山!
ひらめいた、このあと少しで見えなくなってしまう富士山を写真に撮ればいいんだ・・・小さなバックのポケットからカメラを取り出して神奈川はパシャリという古い音と共に写真を撮った。

実家へ帰ると家族は嬉しそうに神奈川を歓迎してくれた
でもそれどころじゃないとすぐにパソコンのある子供部屋へと走っていくと妹がいたけれどもパソコンが起動するまで手紙のことしか考えていなかった、思いついたらすぐ行動するべきだと先生にいわれたこともあって神奈川は起動させると妹に抱きしめられる。

ごめんな、と謝ると一回子供部屋から出て少し騒いできてからカメラの操作をはじめた
犬猿の仲であっても好きだという存在はそうはいないだろうけれども—
俺は兵庫が好きだという意思表示がしたかったのですぐに富士山の写真を印刷するとレターセットで手紙を書いてすぐにポストへと出した


「兵庫、どう思うんだろ。」

夜にそう思いながら眠るしかなかった


—帰る日

家族と別れるのを少しだけ惜しむ気持ちで学校へと帰ることになった、電車に乗ってからまた窓をジッと見ていたけれども富士山が見えることはなかった
あれ・・・奇跡的に起こったのかなとか思ったが本当に富士山は見えなかった。

帰ってからは初めに新聞部のメンバーに会ってから東京ちゃんと埼玉を見かけたので兵庫が何処にいるか聞いたら寮にいるといわれたので寮まで疲れたけれども神奈川は走った、そして神奈川と兵庫の部屋へとたどり着いて扉を開くと

—手紙があった、でも兵庫はいない。


「あ・・・手紙。俺宛てじゃん・・・兵庫!?」

『神奈川へ
あけましておめでとう、ことよろ。
あと手紙ありがとう、富士山の写真、大切にします。
じゃあまた明日

兵庫。

P.S 私は今、屋上にいます』

神奈川は屋上までまた走る羽目になったせいかたどり着いた瞬間に兵庫をボコボコにしてやりたかったが・・・
屋上のフェンスにしがみついている兵庫を見るとポンと頭を叩いてから隣へと移ると、富士山が其処にあった。

夕日に照らされていて綺麗だと思ったら自分が撮ったものだと気がついた


「兵庫・・・富士山のせいで、俺は凄く走った気がする」

「そう。」

「・・・そう。だと!?」

兵庫と屋上で取っ組み合いになった神奈川は多分この日が一番疲れたひだと思っただろう


                             終わり