BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: バレンタイン企画 //薔薇百合作品(オリ版権問わず)募集中! ( No.194 )
- 日時: 2011/02/24 23:33
- 名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)
- プロフ: http://www.kaki-kaki.com/bbs_test/view.html?428610
▼... 「うわあああ勝手に食べてすみません! って、怒ってないの? え……?」
銀魂/山崎*沖田
//謝罪中
沖田さんが、たくさんのチョコレートを持って、屯所に帰って来た。
あんなにたくさん買い込んじゃって。
——きっと、副長にあげるんだろうなぁ。
そう思うと、沖田さんに想われている副長のことが、少し羨ましくなってしまった。
……いや、少しじゃないですよ? 本当は、すごく羨ましいです。
ただ、それを認めてしまったら、俺はきっと終わってしまうから。
実ることのない、想いだから。
「沖田隊長」
「んぁ? あ、山崎。どーでィ、少しはチョコもらえたかィ?」
「いや、全然ですよ。むしろ、沖田隊長の方がもらってるんじゃないんですか?」
「俺も収穫ぜろでィ。……ってのァ嘘で、本当はいくつかもらった」
「ほらぁ、やっぱり!」
そう言うと、沖田さんはいつものあのサディスティックな笑みを引っ提げて、俺の前でチョコの入った袋を揺らした。
山崎も食うかィ?なんて、また嘘なんかついて。
俺は、そんな無防備な沖田さんを食べちゃいたいんですよ、全く。
そんなことを、頭の中でぐらぐら考えていると。
「ん。——……あーん」
……あれ? 沖田さん、それって——。
「ほら、早くしねーと。俺が全部食っちまいやすぜ? いいのかィ?」
口の片端だけを くい とあげて笑ってみせる沖田さんに、俺は思わずその指に抓まれていたチョコを頬張ってしまった。
沖田さんが驚いたのは言うまでもなかったが、その驚いた顔に俺まで驚いて。
————しまった。
と、思った時には既に遅くて、すぐさま土下座の体制に入る。
「う、うわああああ! 勝手に食べてすみませんんんんん!!」
叫んだ。
いくら沖田さんが食べてもいい、って言ったからって、それでも指から食べるのはよろしくなかった。
——やばい。副長の雷が落ちてくる。
言い訳を必死になって考えていたそのとき。
「別に、構わねーでさァ。食えって言ったの俺だしねィ。まさか、本当に食うとは思わなかったけど」
「あれ……じゃあ、怒ってないんですか? え……?」
「? なんで怒る必要があるんでィ。あー山崎おもしれー」
くつくつと静かに笑う沖田さん。
そんな沖田さんを見ていたら、さっきまでの副長への羨望とか、不安とか苦しみとか自己嫌悪とか。
正直どうでもよくなってしまった。
この先も、この人の笑顔が見られれば、それでいいか——なんて。
( ばれんたいんでーの、幸せなひとときを。 )