BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【薔薇百合短編募集中!】 クリスマス企画 【オリ版権問わず】 ( No.45 )
日時: 2010/12/12 17:58
名前: 刻鎖 ◆KokuskA/To (ID: aYwQGfB6)

■プレゼントはいい子にしかあげません



 ——騒がしい、夜。今夜はクリスマスイヴだ。トナカイが空を飛んでいないか星の輝く夜空を見つめ、橇の鈴の音でも聞こえないかとそっと耳澄ます自分がいる。白い髭を生やしたお爺さんがサンタクロースならば、きっとわたしはマッチ売りの少女だろう。

(——雪……)

 頬に何がが当たったかと思えば、融けて涙のように頬を伝いながら流れていく。
 マッチ売りの少女。最後には死んでしまっても、本当に幸せになれる少女のお話。——貧しい子供の幸せについて考えさせられるお話。
 クリスマスは、浮かれてる大人がほとんどだけど、こうしてる間にも、苦しんでいる子供たちは何人もいて。
 そもそも、クリスマスとはイエス・キリストの誕生日。



「千尋?」

 振り返ると、そこにいたのは親友。

「ケーキ、買って帰ろうか」

 こくり、頷けば親友の笑顔。……幸せだなあ、って改めて感じた。今日は、イヴ。彼女へ何を送ろうか、まだ考えていなかったはず。財布には2万とちょっと。
 ケーキ屋が目の前に見えた。
 先月ほどに新しくオープンした、小さいけれど可愛らしく、結構評判のお店。よくチェックしてるな、親友に関心。


「ちょっと、わたし文房具屋いってくる。可愛いケーキ選んでおいてね」

 親友にそういい、向かいにあった文房具屋に入る。
 目に入ったのは小さなシャーペン。真っ白なシンプルのものだけど、ついていたキーホルダーが可愛かったから、これにした。


 * *


「あれ? 美鶴」
「?」

 携帯を親友に貸してもらった。もちろん持ってるけれど、前にメー.ルのやりすぎで親に募集され、それ以来携帯電話は家にある。学校にはあまり持ち込まないようになった、というのが正しいだろうか?
 親に今日は親友の家に泊まると言ったら、すぐにオーケーを出してくれた。彼女は頭もいいし、学校では委員長をやってるから、親は信頼してる。

「いいって」

 やったね、と親指をぐっと立てて見せればにぃっと笑顔を返される。
 2人で他愛のない会話をしながら、もう雪のやんだ明るい通りを歩いた。



「はい」
「どうも」

 例のシャープペンを渡すと、素直に喜んでくれる親友。

「美鶴からわたしにはないのー?」

 むぅっと悪戯に親友を睨むような仕草を見せると、「んー」と適当に返される。何かかちんときたから、親友のベットに潜りこんだ。

「何かくれないとでないもん」

 そういうと、彼女はふふんと得意げに笑う。
 そして呟くこんな一言。

「わるい子だねえ」
「へ?」

 きょとんと毛布から顔を出す。だがまだベットからはでない。

「プレゼントは、わるい子にはあげられないんだけどなあ」

 ……。自分でも分かった。体が妙に外にでたいと騒いでいることが。だからといって、いい子にもあげないという落ちもある。
 ——彼女はわたしの心を読んだのか。


(プレゼントはいい子にしかあげません)

(分かったベットからでるでる! だから頂戴!!)





 * *

 オリジナル。お題に繋げるの、めっちゃ苦労しました;