BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【薔薇百合短編募集中!】 クリスマス企画 【オリ版権問わず】 ( No.48 )
日時: 2010/12/14 17:48
名前: 空梨逢 ◆IiYNVS7nas (ID: .MlM.eMp)

* 好きで悪戯してないもん(構って欲しい、それだけ)



「源田ー」
「……」
「ねーげんだーおいげんだー」
「……何だ」
「ほらほらげーんだー」

 とんとんとん、と軽い振動。どうやら佐久間が俺の肩を叩いているようだ、と思い叩いてる方の反対側に振り返った。
 振り向くと、佐久間の不機嫌そうな顔。軽い三日月の様な弧を描いている銀色の眉が、ぎゅっと寄せられている。

「……あのな源田、空気読め。とんとんぴ、する空気だろこれ」
「とんとんぴって何だよ」
「だからとんとんぴだよ」

 だからそれは、と言いかけて止めた。このまま繰り返しても延々と続くだけだ。それは長い経験でよーく分かっている。
 かといってこのままにしとくと自分の物に手を出して遊び……最悪、壊しかねない。それだけは阻止しなければ。

「おい佐久間、お前「源田のばーか!」……は?」

 声をかけようとしたのに、いきなりべぇっと舌を出された。普通の顔に戻ると、ふんっと鼻を鳴らす。そんなに気に入らない事だったのだろうか。
 そっぽを向いた佐久間に、恐る恐る近づくと佐久間は振り返った。


「少しぐらいさ、……振り向いてくれたっていーだろ」
「……は?」
「だーかーら!構えっつーの!」

 半ばヤケクソで叫ぶ佐久間。構え?何だボールセーブの構えか?等と色々考えていると、佐久間は半泣きになっていた。
 目の隅には透明な雫が溜まっている。
 ……ああ、そう言う事か。

「佐久間」

 ぎゅ、と抱きしめる。佐久間はびくんと体を震わせると驚いた様に俺を見た。

「げ、げげ源田?」
「そうだよ」

 きょときょと、と目を動かす佐久間が可笑しくて笑ってしまう。佐久間は不服そうに唇を尖らせた。
 俺はもう少しだけ腕に力をこめる。

「あほ源田」

 聴こえた悪口は、この際無視で。



( これだけ無視しといて今更かよ )( ……ごめんなさい )



【Fin】


2010.12.14 氷橙風に捧げます。
       Happy birthday! 貴女の誕生に心からの感謝を。