BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【薔薇百合短編募集中!】 クリスマス企画 【オリ版権問わず】 ( No.66 )
- 日時: 2010/12/27 20:41
- 名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)
という訳で、〆切に間に合わせる為に! やります!
【さよならさよならお元気で】(鏡霖潤×猿影海琉)
〜視点無し〜
死神という者は、人に情を移さないで、人を殺して行く神様。
忍びという者は、人に情を見せないで、夜の街を駆ける殺し屋。
似た者同士の彼らは、一体何を思うのだろうか?
その日、冨嶽には猿影海琉の姿があった。
言わずもがな、いつもの暇なのでブラブラしようと言う訳だ。おそらく、弟の彼方に追い出されたか。
「元千代君。相も変わらず、すごい釣竿使っているよね。何、それ」
「あぁ? 普通に槍の形にしてるだけだぞ。いつもの双剣」
この2人は、他愛もない話をして楽しんでいた。
周りは海ばかり。青一色の世界に生まれるのは、鳶色の忍び。それに目を奪われたのか、深海の色が、鳶色に手を伸ばす。
細く、しなやかなその体に触れ、一瞬にして攫われる。
「? 海琉さん?」
元千代が振り向いた時には、海琉の姿はなかった。
彼らが来たところは、元千代の視線が届かない城の天守閣。
薄暗い所には、海琉と潤の姿があった。
海琉が潤の上に覆いかぶさり、忍者刀を首筋に当てていた。
「どういうつもり? いきなり俺を攫うって」
「あはは。いやぁ、やましい事はしませんよぉ」
潤は笑っていた。屈託のない笑顔を向けて、手を降参するように挙げる。
海琉は一瞬信じられないというような表情を浮かべたが、忍者刀を放して収める。そして、潤の上から退き立ちあがった。
「君さ、調子こくと死神でも殺すよ?」
「厳しいなぁ。まぁ、そこが痺れるよねぇ、あんたに」
潤はけらけらと笑っていた。
そんなに笑って、何が楽しい?
海琉が言おうとした瞬間————
「静かにしててよね」
海琉が忍者刀を取り出すより速く、潤が深海色の鎌を構えるのが速かった。
細い体を押し倒し、さっきのとは逆で潤が海琉の上に覆いかぶさる。
だが、海琉も負けていない。とっさに暗器のクナイを取り出して、潤の首筋に突き立てていた。
マッチ棒のような腕を、赤い血が伝っていく。潤のものだ。
「だから、どういうつもり? 殺すよ?」
「ねぇ、海琉さん。あんたに訊くけど、俺はどうしたらいいかな?」
海琉の瞳が、潤の顔を捕らえる。
泣きそうな表情を浮かべた潤。涙を2、3滴海琉の頬に落とす。
「俺は、俺は死神だ。だから、人を殺す事でしか、人を愛せない」
「どこかで聞いた事があるような設定だよなー。で、それがどうした?」
潤は、静かに鎌を放す。泣き崩れた表情。震える体。明らかに、泣いていた。
海琉は、そんな潤に手を伸ばす。
慰めようとでもしたか? 本当の兄として、この自分より幼い神様を。
「どうしたらいいよ。俺は、どうしようもない人を好きになったんだよ……」
「どうしようもないね。俺は関係ないし。でも————」
海琉は笑顔を浮かべて、潤に言う。
「それで愛せるなら、愛しちゃいなよ」
「ッ————」
潤は、ふわりとした笑顔になる。そして、
ダンッ!
視界が一転し、空と潮の匂いが五感を刺激する。
青空を彩る、鮮やかな赤。それが、自分の血だと言う事には、どれほどの時間がかかっただろうか。
抱きついてきたと思った潤の手には、しっかりと深海色の鎌が握られていた。
激痛が自分の体を貫き、意識が朦朧となる。
「海琉さん」
「俺は、あんたをこんな風でしか愛せないから————」
「俺に殺させてよ」
どぼん、と音がして、水しぶきが上がる。
「さよなら。次会う時まで、お元気で」
青い海に広がるは、小さな気泡と赤い血の後が2つ。
※すみませぇぇぇぇん!
本当にすみませぇぇぇぇぇん!!!!!
何か、色々とすみません!
こんな小説になりましたが、いかがでしょうか?
狂愛、難しいです。次も頑張ります!