BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【薔薇百合短編募集中!】 クリスマス企画 【オリ版権問わず】 ( No.84 )
日時: 2010/12/30 11:14
名前: ヴィオラ (ID: 6PSxBKjg)



      〜甘いね、美味しいね、〜


今年もこの日がやってきた、クリスマス・・・
でもそんな日から一週間が経過していた
神奈川と兵庫はあの日の『ファーストキス事件』で顔を合わせなくなったというよりも見ているうちに記憶が蘇って変な感情に溺れるからだ。

そんな神奈川は正月に実家へと帰ってしまった、実はあだ名の名前とはみんな同じ県から来ているわけではないのだ
東京は実は神奈川だったりするし、兵庫は東京だ、そして神奈川は千葉・・・
そんなこともあって寂しそうな顔を窓に向けていた兵庫のケータイからはメールが届いていた


「・・・神奈川か。」

『家、分かるだろ?俺の家に今から来い。
あ、ちなみになんか作るからエプロン持ってこい

                   神奈川』

急過ぎだろという約束に返信というボタンを軽々と押した兵庫はメールを打っていた、そこにいたのは新聞部で活躍していると有名(!?)な富山だった
勝手に部屋に入ってきてブチ切れてもこういうパターンには度々出会っているから仕方ないのだが・・・。

翼を急にバサリと動かした富山のまわりには羽が落ちていたがそれも気にせずに近づいていく、
兵庫はこのメールを見るんじゃないかと携帯のメール画面を送信した後にすぐ閉じる


「アタシ、神奈川さんの家に行くことになったんだけど・・・
何処にあるか分かる?」

「・・・私も今から神奈川の所に行くから、ついてきて。持ち物もそろえたでしょ?」

神奈川の家は此処から少しだけ近い
『海百合学園』に入るときに使った小さくボロボロの電車に兵庫と富山は乗る、途中の駅で買った駅弁を少し沈黙もありながらも乗っていた人はいなかったので色々と話しながら神奈川の住んでいる家に近い駅へとたどり着いた。

田舎臭い感じが少しだけ残っている駅へ降りると駅弁を捨てて兵庫は深呼吸した、富山はパシャという音と共にカメラで撮影していた
景色は田んぼの周りに点々と家やコンビ二がある感じがしたので東京にはないものだなと兵庫は思う


「兵庫、緊張する〜?」

「決まっているじゃん、他所の家に行くんだから」

ずっと真っ直ぐ行って東京にもあるであろうコンビ二を曲がって二つ目の大きな家が神奈川の家だった、
お金持ちともいえるのだろうか初めて兵庫がこの家に来たときは驚いたが今はこの前のこともあって緊張している。

インターホンを富山が鳴らすと神奈川が玄関へと姿を現した


「神奈川・・・久しぶり」

「こっちも久しぶり、富山ちゃんも家入って。」

そしてリビングへと入った富山と兵庫は甘い匂いに驚いていた、
『メリークリスマス』と少しだけ下手な感じの字で書いてあるチョコにサンタクロースの砂糖菓子がチョコンと座っているケーキだった。

ブッシュ・ド・ノエルというこのケーキを丁寧に神奈川は切り分ける、苺がたくさん乗っていて美味しそうだからか富山はよだれをたらしそうになるほどに早く食べたかった


『いただきます』

そろった『いただきます』に兵庫と神奈川は顔を合わせた、
そしてクスッと笑った。
緊張はやっと途切れたようだと富山も安心したような顔になった

富山が今年撮った写真の話とか神奈川と兵庫の面白話などもあって結構盛り上がったころだった、
神奈川の頬にはチョコレートクリームが少し付いていた
可愛いなと思いながら富山がクリームが付いていることを言おうとした時だった


「・・・クリーム、付いてるっ。」

兵庫は神奈川の頬のクリームをそっと舐め取った、
顔が真っ赤になる・・・あの『ファーストキス事件』の状況と同じようになっていた。

富山がゲゲッと言ったときに兵庫は思った

—しまった、人がいたんだったっ・・・
一瞬で顔が真っ赤になっていた、富山は無言だ


「・・・///」

「・・・あ、甘かったろ?///」

「・・・ふぇ?」

「だから、甘かっただろ?」

「・・・///」

そっと兵庫は頷いた


                             終わり

『好きだーっ、このコンビ』と思ってクリスマスの最後のお題には兵庫と神奈川を使いました。
富山はとりあえず気に入っていたキャラなので使いました、
それではみなさんよいお年を^^