BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- サンタさんの、ばか ( No.93 )
- 日時: 2010/12/30 16:59
- 名前: 松筆 (ID: Ka5Rg9kR)
オリジナル。
気持ちはショタ×よくわからん青年。
ぼくの知るサンタクロースは、みんなの知ってるサンタクロースと違うみたいだ。
みんなが言う「サンタクロース」は、ひげもじゃで、にこにこした優しいおじいさんらしい。
でも、ぼくの知る「サンタクロース」は……………………。
「サンタさんの、ばか」
ぼくはそう呟いた時、自分の声が震えていることに気づいた。
寒いんじゃない。ましてや地震が起きてるわけでもない。
ぼくは、泣きそうなんだ。認めたくなかったけど、認めざるを得ない。
壁にかけてある、シンプルな時計と日本スピッツの写真が描かれてあるカレンダーを見やった。
今、12月30日23時55分。あともう少しで31日だ。
ぼくはあくびを噛み殺して、彼を待つ。
来るといいな、来てほしいな。そんな思いを抱えて。
ふと、冷たくさらりとした風がぼくの頬を撫でた。
窓はちゃんと閉めていたはずなのに。ぼくはゆっくりと、落ちそうになる瞼をこすりながら振り返る。
そこにあった景色は。
「遅れて、すまなかったな」
「…………………………っ!!」
ぼくの知る「サンタクロース」が、無愛想な顔でぼくの部屋に上がり込んできた。
ここは二階なのに。土足じゃないからいいと思うけど。
遅いよ、遅すぎるよ。今まで何してたの。クリスマスどころかもう年の瀬だよ。
そう問い詰めながら彼に抱きついた。
会えた安心感からか、ぼくの両目からは雫がぼろぼろ。
もういいや。サンタさんの服濡らしてやる。
その、胸の中に飛び込んだ。
「悪い。プレゼントがわからなかった」
その言葉に、ぼくは思い出した。
いつもいつも、20日には手紙を書けってサンタさんに言われてる。
今年は書かなかったんだった。
「担当地区はお前以外、全部配った」
「…………ごめんね?」
「上にもなんて言えばいいかわかんねえ」
ため息を吐きながらサンタさんはそう口にする。
表情が変わらないのが面白いなあ、なんてぼくはきれいな顔を覗き込んで思った。
サンタさんはいわゆる下っ端らしい。平社員、つまりぼくのお父さんと同じなんだって。
そのせいなのかはわからないけど、サンタさんの担当する地区はものすごく広い。
確か、この市全体だとか。
「で」
「………………で?」
「プレゼント、何がいいんだ」
明日持ってきてやるから。彼はそう言った。
ぼくはプレゼントを全く考えていなかったから、黙り込んでしまう。
時計を見れば、大晦日まであと1分。
ぼくはひらめいたように、希望を口にした。
「サンタさんがほしい」
「……………………は?」
「サンタさんがほしいっ!」
叫ぶようにもう一度言うと、咄嗟に手で口を塞がれた。
ぼくの口を塞いだサンタさんは、唇だけで「おやがおきるだろ」と言う。
なんだか秘密の出来事みたいだねえ、と思わず頬が緩んだ。
「ねえ、サンタさん。ずっととは言わない、言えないからさ」
ぼくは、サンタさんがほしい。
彼はくすりと笑い、後悔すんなよとだけ囁いた。
×-×-×-×-×
日本スピッツは私の趣味です。
ただイケメンサンタさんが書きたかっただけ。
あと途中に「最初に会った時、彼は三枚の肉を見せてきた」というくだらんネタ(三択ロース的なw←)入れるか入れないかで5秒迷った。