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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 00:全部乃始 ( No.1 )
- 日時: 2010/12/28 23:17
- 名前: 松筆 (ID: Ka5Rg9kR)
- プロフ: 頭が残念な腐れ女子だぜ。
「ねえねえれんつぁーん」
甘ったるい耳障りな声が鼓膜を揺らす。
そんな声の主に私は軽く「なあに」と一言。
たとえ気に入らない声だとしても友人だ。むしろ声以外は好き。
はらりと小説の頁を一枚捲り、彼女の話に耳を傾ける。
「あたしねー、とんでもない秘密暴露しちゃっていいかな」
「勝手にしちゃいなよへいめーん」
「おういえーす」
意味不明な対話をし、私は再び頁を捲る。
物語は今、魔法少女が超巨大ジャンガリアンハムスターにやられているところだった。馬鹿みたいだ。
友人はふにゃりと表情を柔らかく崩して、更に甘ったるい声で「魔法少女」と口にした。
まさか私の呼んでる小説を覗いていたのか。まさか秘密とは千里眼のことだったのか。
私はドキドキしながら、でもそれを顔に出さないよう俯きながら聞き返す。
「…………どゆこと?」
「あたしは魔法少女なんだよ」
開いた口が塞がらなかった。今日は体育は無かったはずだぞ。
思わず本を落とす。汚れてないといいなー、なんて暢気な思考回路をする私。いわゆる現実逃避ですね。
友人の目を真っ直ぐ見つめる。細められたそこからは何の意図も一切わからない。私別にそういうすげー人じゃないし。
「うん。今日、あたし機嫌いいから何かしてあげるよ」
カードを三枚、目の前にババ抜きをするかのように見せられる。
この中から一生のお願い、選んでみて。その言葉を遊びだと信じて疑わない私は真ん中のカードを一枚、引き抜く。
書いてあるのは、性転換の三文字。
そして友人は屈託のない、無邪気な笑みでこう言った。
「成功しないと思うから、安心してね!」
きらりきらりと、友人——————真琴の明るい茶髪が輝いた。
私は一体どんなおもちゃを持ってきたのだろうかと小さくため息を吐く。
これが全ての始まりだった。
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