BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

#【あきら×晃一】(君僕) ( No.179 )
日時: 2011/10/26 18:22
名前: つんさど ◆GAcxLZeYnw (ID: LsxQHR/F)
プロフ: こーちゃんは一思いにビックリしてから受け入れる子だと思う

>>176 あきこー編。
明日は中間テスト(5教科)だけど気にしなーい。
※裏設定※ あきこーは既にできてる。















「あっ、こーちゃんおかえりー」

東晃一が職員室に戻ると、数人の先生たちと彼の幼馴染、あきらがいた。
あきらが来ているのは承知している。
あきらが自分の椅子に座っていたのも承知していた。
あきらが自分のデスクを漁る光景など、もう見飽きている。
今日のあきらは、自分の椅子に座りながら窓の外を眺めていた。

「どうした、あきら? 何か変なものでも——……」
「ねえ、こーちゃん。 あの子たちって、いっつもこーちゃんと遊んでる子?」

あきらは晃一の質問には答えず、違う質問を投げかけてきた。
質問返し。 日本人が地味に嫌う戦法である。

「いつもじゃないけど……まあ、よく関わるかな?」

しかし、これももはや日常風景。晃一は何の違和感も嫌悪感も持たずに応じた。

「ふーん。 あの二人、付き合ってるよね絶対」

あきらの気の抜けた声から発された問題発言。
晃一は隠しきれていない驚きを必死に隠しながら窓の外を勢いよく振り向いた。
窓の外に映るは、沢山の雨粒と先ほど自分が見送ったままの背中。
(相合傘をしているという事実を除けば)普通の高校生である。

「なっ、なななななななんで!!?」

以前、塚原要と佐藤茉咲の交際を噂する話が流れたことがあった。
そのときは、高校生の男女なのだから普通であるとして流した。
その噂が流れている真っ最中に、今度は自分の目で、要を押し倒し(ギャグ顔で)キスを迫る橘千鶴の姿を確認した。
それに関しては、男同士であるとはいえ現行犯だったため素直に認めた。

だが、今回は状況が違う。
塚原要と浅羽悠太。
話によると、彼らは幼稚園から今までずっと一緒の“幼馴染”らしい。
彼らは3年になってから同じクラスで、よく一緒に行動する姿を確認できた。
…前回のように、決定的な瞬間があれば、自分もすんなりと納得できたのだろう。
晃一は思う。
彼らは相合傘をしているが、それは天気予報が外れ突然雨が降ったからで、二人とも部活なり生徒会なりで帰りが遅くなってしまったために周りには二人しかいなかったわけで、それを見つけた晃一が職員室へ傘を取りに行ったものの全て貸し出し中で、仕方なく晃一自らの傘を差し出した、つまり二人で一本の傘を使う以外に選択肢が無かったからだ。
数々の偶然が連なったことによりこの状況に置かれている彼らを見て、事情を知っている者がどうしてそう思えようか。

あきらは、何か知っているのだろうか。
なんだかんだで要と悠太とはそれなりに仲のいいあきらは、何か話を聞かされているのか?



「——ってね、 ………こーちゃん、聞いてる?」

晃一が考え事をしている間、どうやらあきらはお喋りに興じていたらしい。
あきらの一言で、晃一は我に帰った。

「あ、ああ。 何だっけ?」
「ほらー! 聞いてないよこーちゃん!!」
「ああ…悪いな、ちょっと考え事してて…。 ……なあ、あきら」

頬を膨らませて怒るあきらに、晃一はさっきまで自分の考えていたことをぶつけてみる。
すると、あきらは目を丸くして、ふふんと笑って見せた。


「こーちゃん、疲れちゃってるんじゃない? もう今日は帰ろうかー」

時計を見ると、既に7時半を回っている。
あきらはそう提案すると、晃一の答えも聞かずに腕を引っ張り、靴を履いて傘を用意した。
そして、反応の少し遅れた晃一を急かす。
晃一はというと、その日の分の仕事を片付けるのに手間取っているようだ。
いや、正確に言うと、その日打ち込んだ分のデータを保存し、提出されたプリントをまとめ、他にも持ち帰る必要のある私物を鞄に仕舞っているのに手間取っている。

ちょっと待て、そう言いながらわたわたする晃一にあきらは微笑ましく思いつつも、晃一を更に急かした。


ようやく終わったところで、あきらは晃一に言う。





「ボクたちも、相合傘するんでしょ? そしたら分かるよ!」


この意味が分かるのは、いくらか聡い人だろうか。






≪ 放課後ズヒルム ≫






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(なるほど、確かにこれじゃあ)
(交際はバレなくても、好きってことはバレるかも)





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サブタイトルの“ズヒルム”。
ドイツ語で“傘”の意味です。 Schirm と書きます。
ちなみに“アンブレラ”は英語。 Umbrella。 ここは有名ですね。
あきこー……あきこーェ……。 十先生が大好きです。