BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

#【沖斎沖】 ( No.50 )
日時: 2011/03/06 14:17
名前: つんさど ◆GAcxLZeYnw (ID: L1bEpBtf)
プロフ: 見方を変えてみた。つか長ッ。

「僕は一君と、ずっと一緒にいたい」

そう言って笑ったあの顔を、俺はもう見れない。



≪幸せ者。≫





総司の最後の言葉を、俺は一時も忘れたことはない。

            *





「一君・・・そんな・・・とこに居たら・・・うつっちゃうよ・・・?」

総司はそう言って、俺にかからないよう体勢ごと変えて咳をした。
肺結核は空気感染する病であり、「不治の病」「難病」と呼ばれている。
此処に居続けたら俺まで危険だ。

「それくらいの知識くらい、持ち合わせている」

____持ち合わせているが——
——俺は、どうしても動けなかった。


体が言うことを聞かなかった。
総司の傍を離れることが出来なかった。


「はじめくん・・・てば・・・君が新選組を・・・引っ張っていかなきゃなのに・・・
 僕はもう・・・長くは無いんだ・・・だから・・・
 一君には・・・もう少し生き・・・てて・・・ほしいんだよ・・・?」

総司は俺に、精一杯の笑顔を見せた。
苦しそうに呻く総司を見ているのは、正直辛かった。
総司の苦しみを、俺は一寸も感じることが出来ない。
いっそ総司にうつされて、同じ苦しみを抱えて————


「斎藤組長!斎藤組長!」

「・・・」

「・・・はじめくん・・・さんばんぐみの・・・たいしが・・・よんでるよ・・・
 行ってきな・・・」

「・・・悪い。」


俺は総司に一言謝罪し、総司のいる部屋から出ようとした。

刹那。


「うぐっ・・・げほっごほっ・・・!げほっ・・・!!」
「総司!!」

総司が呻き声をあげた。
俺は条件反射で向き直る。
そんな俺に総司は一言

「いい!」

そう叫んで起き上がった。

「一君は・・・行ってよ・・・。もう僕は、戦えないんだ・・・。
 一君はまだ動けるんだから・・・僕の分まで新選組の隊士として頑張ってほしい」

「総司・・・」

「だから・・・お願い・・・。
 僕は、一君とずっと一緒だから・・・。大好きだよ、一君」

「総司・・・行ってくる」


            *

総司は、俺が出ている間に息を引き取った。
居るかどうか分からない相手に言うのも癪だが、神に願って叶うのならば何度だって願う。

『俺と総司に、幸せをもう一度ください、』