BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 「もう一度だけ」と貴方は言うけれど【オリジナルBL】 ( No.11 )
- 日時: 2011/01/09 20:04
- 名前: パナジウム(仮)@名前募集中なう ◆gkJKyRKQ9E (ID: 9L4Q1bFg)
まだ、僕が、貴方に、出会う前、
ほんの、一言、
彼女の、一言に、救われた、
そんな、僕と、彼女の、
【昔話】
中原璃玖、中学二年。これはとある秋の一コマ。
でも、僕の生き方を変えた二週間。
そして、彼女と特別な関係を築き上げるきっかけになる二週間のお話し。
「おはよー璃玖、今日もねっむいなー」
「一時限目なんだっけ?保体(保健体育)?」
「数学、でしょ。全くあの先生黒板書くの早いから、ノート取りにくいのなんのって」
他愛のない登校時間の会話。友達二人に挟まれた僕は、苦笑いしながら“一時限目は数学だろ”と答える。
心底嫌そうな顔をする二人に、思わず笑みを零した。
「あ、そういや数学のセンコウ、産休今日からだっけ?」
「おお!まさか、あのセンコウもやることはやるんだなぁ」
「いやー、どんなことしたんだろうなぁ」
下ネタ的会話に朝っぱらから行こうとするな、恥ずかしい!
何か話の流れを断ち切ろうと、頭の回転を速くする。嗚呼、思いつかない。
「そりゃ、【自主規制】に【自主規制】を【自主規制】んで、そのまま【自主規制】んだろ?」
って、それ、読んでる人に伝わってない。
いやもう、僕が代わりに謝ります。ごめんなさい。
と思っていたら、学校に黒い高級そうな車が入っていくのを目撃する。
学校に車で出勤している先生は数人。だが、みんな親が持っていそうな車ばかり。
あんな高そうな(しかもすっごい綺麗な黒)車で出勤する先生なんてまずいない。
「あ、あれが新任だよ」
車から出てきた、スーツ(これもめっちゃ高そうなの)を着こなした、二十代後半あたりの(お世辞ではなく)イケメンは、こっちを見て微笑んだ。
「うっわ、嫌味かあいつ」
「どこぞのお坊ちゃんでした、って感じか?」
横の二人が品定めを開始するのと同時に、小さく溜息を吐いた。
まあ、確かにムカつくけど、格好良くないか?普通に。
いや、あの、まあ、あれだ。僕はそっち系の趣味を持っている、なんて友達に言えるわけない。
だから、素直に格好いいとは言えないけど、ゲイである自分から見たら物凄く格好いいのだ(好みにもよるけど)。
「あーあ、一時限目さっぼりてぇ!」
友人の声が、やけに大きく聞こえた。
「ねえねえ、新しい数学の先生、格好良くない?」
「だよね、ヤバいって!声もいいし、頭もいい!なによりあの美形!」
「いっそずっと休んでろ朝倉!」
一時限目と二次元目の境、女子たちの話題はあのイケメン教師一色だった。
あ、朝倉ってのは産休中の数学の先生ね。
「くっそー、女子のヤロー。あんな女たらしの何処がいいんだ!」
「見る目ねーよ女子。顔がいいだけで騙されてるって」
「早く朝倉戻って来い!バックプリィィィィィィズ!!」
そんな中、教室の隅っこで話しに華を咲かせている女子を横目で見て、雄たけびをあげているのが男子。
男子って言っても、一部の男子は会話には入ってない。僕もその一人。
「なあ、璃玖はどう思う?あの新任教師!」
僕に話を振るな!こっちは胸の動悸が止まんねぇんだから!
いや、女子に肩持つわけじゃないけど、うん…確かに格好いい。
「別にー、ノーコメントで宜しく」
「ちぇっ」
手をひらひらと振ると、つまらなそうに男子の話に戻っていくクラスメイト。
することもなく教室を見渡すと、独り孤立した女子が目に入った。
確か名前は………安藤雪、だったはず。
教室内での一匹狼といった感じとか、ともかく他人と必要以上の関わりをもたないとか、そんなことをよく耳にする。
彼女もまた、退屈していたのだろうか。それとも視線に気付いたのか、ゆっくりとこちらを見られる。
…冷たい目。
「……何見てんの?」
微かに、でも耳に届いた声は、少しさびしさを含んでいた。
それと同時に、次の授業へのチャイムが鳴る。
次の授業、なんだったっけかな?
次の日、学校に来たらこりゃ吃驚。
下駄箱前の掲示板には、あの新任教師の解任についての張り紙。
野次馬ついでに覗いてみると、また理由に吃驚する。
「っげ、あの先生ホモだったのー?」
「ちょっと、なにそれ有り得ないでしょ」
遠くでは、女生徒の嫌悪に満ちた声。
その時、確信した。この性癖は、隠さなければいけないものだと。そうしなくては生きていけない、と。
- Re: 「もう一度だけ」と貴方は言うけれど【オリジナルBL】 ( No.12 )
- 日時: 2011/01/09 20:07
- 名前: パナジウム(仮)@名前募集中なう ◆gkJKyRKQ9E (ID: 9L4Q1bFg)
数日後、また掲示板に人がたかっていた。
この前と同じく、人と人の間から顔を出し、そこに書いてあることみる。
そこで固まる体。
なんだよ…これ…!?
「うっそ、中原ホモだったの?」
「ありえねーし、冗談もほどほどにしろって…」
「まじかよー、話しかけずらいじゃん、それ」
まるで耳元で聞こえるかのように錯覚する神経。
微かに怒りに震える肩、手。
何よりも辛かったのは、クラスメイトからの酷い扱い。
「ねえ、中原。あんたホモなんだって?まじで?ありえなくない?」
「男のくせに男が恋愛対象って、まじうけるー」
誰がバラした、なんてもうどうでもいい。
どうして自分がこんなことを言われなければいけないのか、という疑問に自問自答。でも、あんま意味なかった。
クラスの笑いが最高潮に達した時、椅子が引かれる音がした。
「…五月蝿いんだけど、少し静かにしてくれない?大体、ホモだのありえないだの、そんなこというあんたらの神経がありえない」
淡々とした口調の中に込められた、確かな怒り。
数日前の彼女と、全く変わっていないのに、何かが違った気がした。
「あんたらさ、なんも知らないでそういうの言うの、止めた方がいいよ?あんたらがさっきから言ってる“ホモ”ってのは、“ゲイ”の中じゃ差別用語。それに、中原さんがゲイって誰が言ったの?掲示板に張られてたの見て、すぐ信じて、情報の処理力もないわけ?」
こういうのが面と向かって言えるのって、単純に凄いと思った。
僕なら声震えて何も言えない、絶対無理。
「それに中原さんもさ、否定も肯定もしないなら、肯定したのと一緒じゃない?違うなら違うって言えばいい」
…ヤバイ。泣けてきた。
確かにそうだ、僕は何も言ってない。それは肯定を意味する、そう考えられて当たりまえ。
「でもね、もしも、もしもだよ、中原さんが“ゲイ”ってだけで離れてく友達なんて、結局はその程度なの。“ウワベダケノオトモダチ”なんて、むなしいだけだよ?」
—————その一言で、もう充分だった。
—————彼女の言っていること一つ一つが胸に響く。
—————気付いた時には、「ありがとう」って言っていた。
「どーいたしまして」
また数日後。廊下ですれ違った時に、目の前で立ち止まられて目を丸くした。
でも、彼女の口から零れた言葉は、前の礼への返事。それと、
「私もさ、ちょっと変わった恋愛してんの。だから、ああいうの頭に来ちゃって、余計なことしちゃった。ごめんね?」
と、添えられた一言。
一瞬の間の後、彼女は慌てて胸の前で手を振る。
「あ、あの、中原さんがゲイだって言うのは噂だよね。ごめん、私自分であーだこーだ言っておいて」
答えなんて、ひとつだけでしょう?
「いいよ。本当だし」
やっと、自分を自分で認められた気がした。
【昔話】
(貴方と出会う前にね)
(こんな出来事があったんだ)
(きいてくれる?)
番外編終
(/お疲れさまです。えー、まあ、今回は過去編とのことで、気が楽でした。“本編さっさと更新しろよ!”って方ごめんなさいorz
えー、まずは謝罪を。一部本編の中で差別的要素が入ってしまったことを、深くお詫びいたします。自分でも打ってて結構辛かったりしました;;
実際にゲイの間では、ホモは差別的用語のようです(前に本で読みました)。腐女子の皆さんも、そこんとこ今後注意してもらいたいです。
雪の台詞について。あれは私が日常の中で結構思っていることです。“男同士wwww”って言ってる女子にはもうこれ一発いってやりたいですよもう(((((だがどんな度胸俺にはない←
あくまでBLはファンタジー。このお話もファンタジー。実際の人にBL作品のようなのを求めてはいけません。不快になられます。
っていうのが言いたかっただけ。
堅苦しくてさーせんでしたノシ
教師の登場あんま意味ない……((((
BGM ワ/ールズエ/ンド・ダン/スホ/ール(初/音ミ/ク、巡/音ル/カ)