BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re:  【2/3,2/11 誕生記念】 ( No.7 )
日時: 2011/02/10 21:56
名前: あゆ ◆x/5HQXA.iA (ID: rLJ4eDXw)




「……菊、誕生日、おめでと」

 そう言って、彼がやって来たのはついさっきの事だ。
 いつも通りに肩に猫を乗せて、雨のせいか普段より(当社比)三割増でぼさりと乱れた髪の毛を手で押さえ、もう片方の手に花束を持って。綺麗、と言うより美しい、と言う表現が似合う薄い紫に色付いた花。
 思わず顔をほころばせてしまったらしく、目の前の彼に「菊、笑ってる……良かった」と可愛らしい笑顔で言われてしまった。いえ、貴方の笑顔を見られて私は幸せ者です。

「態々ありがとうございます、ヘラクレスさん。これは……桔梗でしょうか?」
「うん」

 こくりと首を縦に振り、みあーおと眠そうに鳴いた肩の猫をぽんぽんと撫でる貴方。相変わらず猫に好かれている様ですね。
 ……しかし、何故桔梗なのでしょうか。

「桔梗の、花言葉……『感謝』」

 そう言うと、髪を押さえていた手をそっと離し、私の髪の上に置く。ふわり、と彼のいつも身に纏っている温かいお日様の香りがした。
 そっと手を動かし、ぽすぽすと私の頭を叩くと、にこりと笑みを浮かべる。柔らかくて温かい、私の大好きな貴方の顔。

「菊、誕生してくれて……ありがと」
「……いえ、こちらこそ」

 貴方と出会えて、幸せでした——小さく呟くと、貴方はぎうーと抱き締めてくれた。優しげなオリーブ色の瞳が細められる。
 貴方に祝ってもらえるなんて、私は幸せ者の爺ですね。



( 我等が祖国の誕生と、愛する神話国の誕生に )
                       ( 心からの感謝を! )