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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【2/12 誕生記念】 ( No.8 )
- 日時: 2011/02/15 18:25
- 名前: あゆ ◆x/5HQXA.iA (ID: rn3pvd6E)
「なあなあロヴィ、その手に持っとるのなんなん?」
「わっ……ちょっ見るなこのやろー!」
興味津々、と言った様子で手元を覗き込んで来るアントーニョを軽くかわす。いきなり前触れも無く見んなよなこのやろー、心臓に悪いじゃねぇか!
見るな、と言葉をほうっても気になる気になると言って覗き込もうとする。わくわくとエメラルド色の瞳を煌めかせて、口には嬉しそうな笑いを浮かべて。
ああ、コイツは子供か! 俺より良い歳してるくせに!
「いけずやなーロヴィは。親分気になってまうやないかー」
何回も何回もなあなあ見せてや、と言うアイツに向かって暴言を投げつけ、そのままかわしまくる。それの繰り返し。いい加減あきらめろ!
そのうちついに諦めたのか、近くにあったソファにアイツはどさっと身体を投げ出す。そのまま横になった……あ、不貞腐れたか。そのままシエスタする気だ。これは俺にとってチャンス。
ぶーぶーと文句を言いながら手探りでタオルを探し、ぽいっと自分の身体の上にかける。シエスタするわーと予想通りの声が聞こえた。
「……」
じいっと息を殺す。すやすや、すうすうと規則正しい寝息が聞こえてくるまでに時間はあまりかからなかった。ソファに音をたてないように忍び寄る。菊んとこでは「抜き足差し足忍び足」とか言うんだっけな。
抱えて視線から守り通した小箱。それをアイツの、組み合わせている手の上にのっける。そうっと、そうっと。気付かれないように。
「誕生日おめでとう、アントーニョ」
眠ってるアイツに笑いかけて、床に引っ張りだして来たタオルを乗せる。さあ、俺もシエスタしようかな。
アイツの顔が少しだけ笑ったように見えたけど、それはきっと気のせい。
( 「なんや、嬉しいことしてくれるやん……」 )
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