BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

最期の詞—サイゴノコトバ— ( No.116 )
日時: 2011/07/17 23:40
名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=g3Mz5EGEbVk

——————今までありがとう、「   」。

優しくて、温かな声音。
あなたは私にそう告げて、静かに瞳を閉じた。

拭っても拭っても、涙は溢れてきて。
あなたの名前をどれほど呼んだか、自分でも分からない。

握っていた掌が、どんどん冷たくなっていって。
必死で、温めていた。



あれからもう、4年は経ったかな。

自分の心を整理して、今日、やっとあなたの元へ来ることができたの。
でも、やっぱりまだ少し駄目みたい。
あなたを亡くしたという事実が、恐くて仕方ない。
もう、4年も経ったのにね。

こんな事じゃ、あなたに笑われちゃうかな。

そっと、あなたの墓石に触れてみる。

真冬の空気のせいでなのか、とても冷たい。
その冷たさが、どんどん冷たくなっていくあなたと重なって、思わず手を引っ込めた。

足が竦んで、そこから走り出しそうになったけど、今日は何が何でも、伝えていかなければならない。



私ね、ずっと後悔していたの。
あなたが生きているうちに、伝えられなかったことがありすぎて。
だから今日は、それを伝えにきたんだよ。

それが私にできる、あなたへの一番の供養だと思うから。

「変なの」って笑われるかもしれない。
それでもいい。あなたに伝えておきたい。

「今までありがとう」

私を愛してくれて。
私に幸せをくれて。

「私は大丈夫だよ」

だってきっと今でも、あなたは私の傍にいてくれるから。

「これからもずっと——————」






大好きだよ。






一番伝えたかった言葉。
あなたに届くと信じて。






——————今はただ、あなたを想って泣こう。