BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 初恋は君だった 【BL】 完結(ss更新中) ( No.134 )
- 日時: 2011/06/24 19:21
- 名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
- プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=g3Mz5EGEbVk
番外編___想いが届くことはなく___
「祐稀!!授業中は寝るなって何度も言ってるだろっ!!」
いつもは物静かなはずの唯が、珍しく声を張り上げている。
どうやら、また祐稀が授業中に力尽きたらしい。
……まぁ、俺もよく寝るけど。
「睡魔に逆らいたくない……」
「少しは逆らえよっ!!」
怒っているようにも見えるが、表情は普段の数倍は柔らかい。
いつものポーカーフェイスが、祐稀の前でだけは簡単に崩れるらしい。
ほんの少しだけ、羨ましいと思った。
そんな二人の、関係が。
「お前なぁ……っ!!」
唯は祐稀の前でだけ、表情を見せる。
俺の前だと、ほとんど笑いさえしないのに。
今自分がどんな顔をしているのか、彼は分かっているのだろうか。
“唯自身は素直じゃないけど、表情は嘘をつかないんだね”
分かってる。分かってるよ。
唯の心には、祐稀がいるってことくらい。
別に、「好き」と自覚した訳じゃない。
でも、「大切」だったんだ。言葉じゃ言い表せないぐらいに。
でもこれを「恋」だと自覚したら、もう友達ではいられなくなる。
だから必死に目隠しをして、耳を塞いで。
鎖をかけて、深淵に沈めて。
____________そうすれば、まだ一緒にいられる。
そんな無駄な足掻きを、どこで覚えたのか。
◇
「修哉」
彼はそう言って、俺に笑いかける。
でも、見てるのは俺じゃない。
ねぇ。俺を通して、誰を見てるの?
____________答えなんて、とっくに分かってたけど。
『 』
本当は、その名前を呼びたいんだよね。
知ってるよ。ちゃんと、分かってる。
だってずっと、ずっと、見てきたのだから。
視線が絡まることはなかったけど、ずっと見てたんだよ。
でも、そんな事実、お前は永遠に知らなくていい。
今更自覚してしまった恋心。
気付いた直後で悪いけど、もう切り捨てよう。
「____________ばいばい」
そう言って、開花しようとした想いの花は、あっさりと闇に葬られた。
それはもう、あっさりと。
◇
唯は今でも『 』を想っている。
それは未来永劫、変わることはないのだろう。
『 』早く迎えにきてあげなよ。
お前も唯が好きだったんだろ?なら責任もって幸せにしろよ。
ドクン
ねぇ、早く。
早くして。
ドクン
消し去った恋心が、再び目覚めないうちに。
「大好きだったよ…………」
【初恋】なんて風邪みたいなものだって、誰かが言ってた。
じゃあこの想いも、すぐに消えるかな?
なら、早く消えてほしい。
誰かの幸せを奪ってしまう前に、早く。
胸がイタイ。何故。
答えなんてもう嫌なほど分かってるから、問いかけないでよ。
誰よりも心をもっていて、誰よりも心を殺していた。
誰よりも心を好いていて、誰よりも心を嫌悪していた。
さよなら。
届くことのない、自分の初恋。
「さよなら」
でも、ひとつだけ我儘を言っていいのならば。
好きだよ。今でも。
The desire doesn't reach,
(想いが届くことはなく、)
Still,
(それでも、)
So that you are happy.
(あなたは幸せでありますように)