BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: タイトル未定【BL】 ( No.15 )
日時: 2011/02/19 22:34
名前: 雲雀 (ID: MLajaLHR)

「______ずっと、眠っていた……」

祐稀は真面目にそう告げた。
唯は心中で「それくらい分かる」と突っ込みを入れ、祐稀の瞳を窺う。

いつも通りの、無表情な顔。
いつも通りの、涼やかな瞳。
でもいつもと違う、少しだけ熱を帯びた眼差し。

「そしたらお前の声が聞こえてきて……髪と頬にあたたかいものが触れた」

「…………」

唯が沈黙を守っていると、先を促しているととったのか、また静かに語りだす。

「……とても心地よかった……だから、しばらくこうしていようと……」

「……っ//」

唯の白い頬に赤みがさす。
それでもなお、ポーカーフェイスだけは崩さない。
______その理由は、

「そしたら急にぬくもりが消えて……」

祐稀はその穏やかな表情に寂しさを添えて、唯の輪郭を頬から顎にかけて愛おしそうに撫でた。

「気配を辿って捕まえたら……やっぱりお前がいた」

そこまで言うと祐稀の表情は笑顔になり、「それが嬉しかった」と呟いた。

「だが……同時に疑問を覚えた」

先程の笑顔とはうって変わり、今度は最初に見た不機嫌顔。
不服そうに、唯を見つめる。

「______何故、俺から離れた?」

「えっ……?」

______もっと違うところを聞かれるかと思ったのに。

なんで俺の髪を触っていた、とか。
なんで俺の事を見ていた、とか。
祐稀が聞くべきところは、多分そっちの方だと思う。

「それからもうひとつ……俺は別に綺麗と言われても嬉しくない」

「あっ……」

今更ながら後悔する。
「可愛い」ではなく、「綺麗」でもやっぱり男は怒るか……。

「わ、悪い……」

ばつが悪そうに、唯は視線を逸らす。
……と言っても、真上から見つめられている状況は変わらないが。

「それなら……唯の方が可愛い……」

「……は?」

聞き間違いだろうか。
今、妙な単語を聞いた気がする。

「少なくとも……俺が出会ってきた女性より、男のお前の方が可愛いと思う……」

祐稀は無表情でさらりとそう告げた。
唯を抱きしめる腕が、更に強まる。

「お、俺は可愛くないからなっ……//」

黒い瞳を鋭く光らせ、祐稀のことを上目で睨む。
効果など、無に等しいのだが。

「この事実だけは、唯にも譲れないな……」

祐稀はクスリと微笑む。

「あっそ」

唯はぶっきらぼうにそう言い放ち、前髪を手で梳いて自分の顔を覆い隠す。
その光景を、祐稀が嬉しそうに眺める。

「俺に綺麗とか言った仕返しだ……」

耳元でそう囁かれた。

「……っ//」

お互いの体温を感じながら、二人はしばらくこの甘い時間に浸っていた。

______唯が最後までポーカーフェイスを崩さなかった理由。
それはきっと、彼に対して友情以上の何かを抱かないようにする為。