BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: タイトル未定【BL】 ( No.2 )
- 日時: 2011/02/14 21:18
- 名前: 雲雀 (ID: AsGC03V/)
第1章
「______迷った」
ほんの数十分前までは、窓際という名の陽だまりの中で読書をしていたはずなのだが。
移動教室で理科室へ行こうとしたところ、集団とはぐれ、現在に至る。
「あんまりサボりたくないんだけど」
______どこかの誰かさんみたいに。
脳裏に浮かんだ友人に、少しだけ悪態をついてみる。
まぁ、そんな事をしても現状が打開される訳ではないのだが。
「ん……?あれ、唯。お前もサボりか……?」
視線を少し上げれば、視界いっぱいに銀色の髪が入ってくる。
続いて見えるのは、透き通った碧眼。
先程脳裏に浮かんだ友人______柊祐稀だ。
「祐稀……お前今月に入ってサボりの回数が多くないか?担任がキレてたぞ」
事実を述べ、祐稀の目を見据える。
祐稀は僅かに苦笑し、
「お前も今サボってるだろ」
と言った。
サボっているとは思われたくなかったのだが、本当の理由を話すのも少し気が引ける。
きっとバカにするだろうから。
しかし負けず嫌いな俺は、更に言葉を続ける。
「出席日数はお前よりマシだ」
こんな事を言ったって、結局五十歩百歩なのだが。
祐稀はまた少し笑う。
その笑顔を見て、「あぁ、やっぱり整った顔立ちだな」と思ったのは本人には内緒だ。
男が男にそんなことを言うのは、なんかおかしいと思うし。
「じゃ、俺はこれで」
そう言ってその場を立ち去ろうとすると、祐稀に引き留められた。
「まさか……授業に出るのか?」
少し驚いたように祐稀は目を見開く。
こいつにとって、授業とは出ないことが当然なようだ。
「……当たり前だろ」
______お前じゃあるまいし。
さすがにここまでは言わなかった。
ここまで言うと、俺の欠点を色々と並べられそうだから。
「もう授業が始って40分経ってるぞ?それでも行くのか?」
……………。
______不覚。その言葉に尽きる。
まさかそんな長い時間、校内で放浪の旅をしていたとは。
いつものポーカーフェイスが少し崩れ、頬に赤みがさす。
「…………」
「…………」
少しの間、沈黙が続いた。
重苦しくて、嫌になってくる。
「屋上……行くか?」
特に返す言葉もないので、俺は黙って頷いて、祐稀の後に続いた。