BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: タイトル未定【BL】 ( No.27 )
日時: 2011/02/28 19:50
名前: 雲雀 (ID: MLajaLHR)

「______あれ?唯来るの早いね」

こういうのには期待させておいて絶対来ない子かと思ったのに。と楽しそうに葵が笑った。
唯は手元の本から視線を外して、頭上の葵を見上げた。

「……来なきゃ、お前らの事をシゴけないだろ?」

______だから来たんだ。と、唯が嬉しそうに笑う。
葵と同じくらいに、黒い笑顔を張り付けて。

「唯ってさー……、Sだよね」

「……?サドって事か?」

唯は僅かに首を傾げながら疑問符を頭の上に浮かべる。
葵はその光景に苦笑を洩らした。

______無自覚ときたか。
【無自覚】という性質の悪いものを、唯がもっていたということに対して漏らした笑みだった。
天使の顔をした悪魔とはこういうものを言うのだろうか。

「唯はそれくらいが丁度いいのかもね」

「は?」

______それくらい性質が悪くなきゃ、彼なんてもう手ェ出してるんじゃない?
なんて、口が裂けても言えないけど。

「んーん、何でもないよ。さて、先に勉強始めよっか♪」

茜色に染まる図書室。
無表情な少年と、満面の笑みを浮かべる少年。
ひとりは怪訝そうな顔でもうひとりを見て、そのもうひとりはゲームの傍観者のように、顔に笑顔を張り付けてひとりを見る。

唯は白い指先で教科書のページをめくった。
葵は口元に孤を描きながら、開かれるページを静かに目で追った。
______図書室の隅にある白い花がその大きな花びらを一枚散らせたのは、誰も知らないひとつの事実。