BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: タイトル未定【BL】 ( No.39 )
- 日時: 2011/03/08 20:18
- 名前: 雲雀 (ID: MLajaLHR)
「______悪いっ、遅れた」
図書室の扉が勢いよく開き、声の主が浅い呼吸を繰り返しながら入ってきた。
唯は彼の呼吸が整うのを待ち、それを見届けると、あることを聞いた。
「修哉」
いつもと変わらない、平坦な声で彼の名を呼ぶ。
修哉は視線を唯の方に向け「何?」と返し、応答を待った。
「お前……また告白されただろ」
その言動に、今まで我関せず状態だった他二名も話に加わってくる。
「ホント……モテるよねぇ、修哉」
______こんなヘタレなのに。と、葵はクスクス笑いながら修哉を見上げた。
その斜め右にある本棚に寄りかかっていた祐稀は「ヘタレ?」と口元に手をあてながら疑問符を浮かべている。
唯は「とりあえずバカ二人は放っておこう」と心中で決心し、言葉を紡ぐであろう人物の顔を見つめた。
「よく……知ってたな……」
驚きを添えた修哉の表情に唯は笑みをこぼしながら、
「これでも人間観察が趣味だからな」
と返した。
______人間観察……いったいどこまで観察してるんだこいつ……。と、修哉は密かに思っていた。
無論、口には出さないが。
「授業中とか……休み時間とかに、お前手紙読んでただろ?あれ多分そっち系の手紙だろうなーと思ってたんだよ。すごい迷惑そうな顔してたし」
______そんな貴重な居眠り時間をお前が逃すとも思えないしな。と、吐息のみで軽く笑い、修哉からの返事を待った。
彼もこれには苦笑するしかないようで、「観察しすぎ」と少しトゲのある言い方で返した。
「で?で?OKしたの?」
葵が茶化すように先を促す。
祐稀も先が知りたい様子で、「俺も気になるな……」と言いながら視線を修哉に向ける。
「はいはい、話すからあんまり詰め寄るな。きつい」
修哉は徐々に近づいてくる3人を押し返し、ため息をついた。
「んーとね……______」
彼から返ってきた言葉に、唯は心底残念そうな顔して、
「なんでだよ……」
と呟いてから悪態を吐き、葵はというと、
「進展ないね〜」
とにこやかな笑みを浮かべ、もう一人の少年はすでに夢の世界へと旅立っていた。
______黄昏の中、少年達の笑い声が図書室に響き渡る。
その声は、さもこの時間が永遠に続くかのように、喜々として放課後の校舎内に響いていた。
◇
「______ん?」
軽い足音を廊下に響かせていた少女が、ふと図書室の中を覗いた。
中には4人の男子がいて、眠っている一人を除けば、全員が笑っていた。
その微笑ましい光景を見つめて、少女は口元に淡く笑みを浮かべる。
「いいものですね、男子という生き物は……」
どこか儚げにそう呟いてから、長くのびた青い髪を窓から入ってきた風になびかせ、その場をあとにした。
少女が立ち去った後には、彼女の痕跡さえ残されてはいなかった。