BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: タイトル未定【BL】 ( No.5 )
日時: 2011/02/15 19:44
名前: 雲雀 (ID: MLajaLHR)

授業終了10分前、清々しいほどに青い空の元、俺は祐稀と二人で授業をサボっていた。
無論、私情というものはかなり抑え込んだが。

「______それにしても、お前も相変わらず読書少年だな」

本のページをひたすらにめくっていると、声がかかった。
多分、暇だったのだろう。俺が何も話さないから。

「別に読書をしちゃいけないなんて法律はないしな……不満か?」

穏やかな表情で見つめてくる祐稀の端整な顔立ちにペースを崩されぬよう、あえて冷めた口調でたずねる。
……効果がないのは、百も承知だが。

「いや?______あぁ、そうだ。唯、今日お前の星座で星占いをしてきた」

軽々しく話題転換か……というか、こいつまだ星占いやってたのか。

「へぇ……なんて出た?」

なんとなく気になったので、先を促してみることにする。
占いの狂信者という訳でもないが、別段嫌悪している訳でもない。

「確か……『今日いいことがあったら、それを与えてくれた人や物に、感謝をすることを忘れないようにしましょう。そうすることで、あなたの世界が今後も豊かになるはずです』……と、そう出ていた」

まぁ信じるも信じないもお前の好きだが。
と付け足し、薄く微笑んだ。

「感謝……か……」

開いていた本を閉じ、祐稀に視点を合わせる。
銀色の髪が風になびいていて、その髪の合間から青の双眼が覗く。
どこか、一度見たら逸らせないようなものを感じた。

「どうか、したのか……?」

祐稀が口元に手をあてて、不思議そうに小首をかしげる。
美しい容姿とはうらはらに、その行動はとても可愛らしい。

「______ありがとう」

そう言い、小さく微笑んでみせた。
色々、【お返し】というものも含めて。
祐稀は目を見開き、「何故?」と言いたげな目をしている。

「な、んで……」

「だって、感謝するようにって言われたから」

_____そう、これは星占いの結果。俺はそれに従ったまでだ。

他意も私情も絡まない、ただの結果。
このような時に使う感謝とは、心が予想以上に晴れ晴れするものなのだと、今日改めて確信することができた。







長いような短いような沈黙の後、授業終了の鐘が鳴った。

「じゃ、俺教室に戻るから」

唯は至極ご機嫌な様子で屋上から去って行った。
取り残された祐稀は、少し頬を赤らめながら、今まで誰も見たことのないような美しい笑みを浮かべ、空を仰ぎみていたそうな。