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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 初恋は君だった 【BL】 ( No.65 )
- 日時: 2011/03/22 19:42
- 名前: 雲雀 (ID: aU3st90g)
その日、窓の外で降り続ける雪は止みそうになかった。
あれから、昼休みの間中、ずっと修哉と葵は一緒にいた。
授業5分前を知らせる予鈴が鳴り、騒いでいた生徒達も、徐々に静かになっていく。
「……戻んないの?」
静かな声で、修哉は葵に問う。
二人はクラスが違う。本当ならば、葵はもう自分のクラスに戻らなければならない。
でも、彼は帰ろうとしない。
「……気分が悪いから、サボろうかな……」
吐息混じりに、葵がそう言った。
顔色を窺ってみようと視線動かせば、整った顔立ちに映える白い肌は蒼白になっていて、本当に気分が悪そうだった。
「ん……じゃあ俺もサボるか……」
修哉がゆっくりと席を立つ。
その光景を、葵は意外そうな表情で見つめて、
「修哉が?珍しいね。だから今日は季節外れの雪が降ったのかな」
と、少し笑う。
その表情を見て、修哉は少し安堵する。
そして、促すように言葉を重ねた。
「早く行かないと、授業始るぞ」
修哉が扉に向かって歩いていくのを見ると、葵も少々笑いながらその後をついていく。
そんな修哉の背中を見つめながら、葵はふと思った。
何故だろう。心の奥が少しだけ、温かい気がする____________。
本鈴が冷え切った校舎内に響き渡る。
二人が歩く廊下に、それ以外の音はなく、
何故かその周辺だけ、時が止まったように思えた。
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