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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 初恋は君だった 【BL】 ( No.86 )
- 日時: 2011/04/08 19:05
- 名前: 雲雀 (ID: aU3st90g)
第7章
それは、遠い夏の日の思い出。
何故、今頃になって思い出すのだろう。
『会いたい』なんて思い、どこかで切り捨てたはずなのに。
______唯。
自分の名を呼ぶ声が愛しくて、涙が出そうになる。
______また会おうね。
子供心ながら、この約束が果たされることはないだろうと、どこかで思っていた。
それでもよかった。ただ、証が欲しかった。
彼と過ごしたという証が、たとえ守れないと分かっていても。
だから約束した。
「また会おう」と……____________
◇
「______唯」
呼ばれた声に、ビクリと体を震わせる。
……ここどこだっけ。
痺れた脳で、思考を巡らせる。
「もう終業式終わったぞ?教室に戻らないのか?」
「え?あぁ______」
祐稀に言われて思い出した。
終業式______傍目には立派な儀式だが、俺にとっては暇な時間でしたかなく、
「途中で寝たんだっけ……」
ひとつ、大きな欠伸が出た。
昨日徹夜で数学をやっていたせいか、酷く眠い。
「次、通知表が配られるんだろ?急がなくていいのか?」
あー……成績か。
はっきり言ってどうでもいい。それよりも、今見ていた夢の方が気になる。
『また会おうね』
その約束の言葉に、自然と笑みが零れた。
それと同時に、心の中に蟠りが出来る。
『会いたい』
その思いのせいで。
「唯?」
再度名前を呼ばれて、現実に引き戻される。
「あぁ……ごめん」
いい夢だったような、哀しい夢だったような______
そんな気持ちが交錯する。
再会できるのは、いつの日か。
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