BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: タイトル未定【BL】 ( No.9 )
- 日時: 2011/02/18 00:25
- 名前: 雲雀 (ID: MLajaLHR)
昼休みが丁度終盤に差し掛かり、食堂の出口付近が人ごみでごった返している。
その光景を、唯は忌々しそうに見つめていた。
「______相変わらず、人ごみが嫌いなんだな……」
人間そうは変わらないか。と、修哉が嬉しそうに笑った。
何がそんなに嬉しいのかは分からないが。
「そう人格がコロコロ変わったら、逆に怖いだろ……」
「そう……かな……?」
そんなに怖いか?とでも言いたげに、修哉は首をかしげる。
______駄目だ。こいつは天然まっしぐらだった……。
唯が心の奥底で深いため息をついたのを、彼は知らない。
「で、話題遡るけど。いつからいたんだ?」
「まだその話続いてたのかよ……」
食事を終えて、すぐに戻るべきだった。
こんな面倒臭い質問を受けることになるとは……。
唯は明らかに肩を落とす。
「……お前が寝たところくらいからだよ」
これで満足?とでも言うように、視線で修哉に問いかける。
修哉はまた不機嫌顔になる。
「俺が丁度寝たところかよ……」
端整な顔立ちに、影が落ち始める。
「______ついでに言うと、錦織がお前の寝顔を携帯で撮っていた」
唯の言葉に、修哉が固まる。
そして少し苛立たしげに、頬杖をついた。
「じゃあ、今度苺サンドでも奢ってもらわなきゃな……」
タダでは撮らせない。と、妙に闘争心を燃やしていた。
「そこが謎なんだけど」
唯は気がついたように顔をあげた。
修哉は「何がだ?」と言って、唯に視線を向ける。
「なんで俺以外の奴からは色々ととるのに、俺からは何もとらないんだ?」
______不公平な気がしないでもない。と付け足して、修哉の応答を待った。
しばらくして、修哉の口が開く。
「唯にならタダでいい」
悪戯っぽく笑って、その言葉を紡いだ。
周りにいた女子の視線が、いっきに修哉に集まる。
______聞くんじゃなかった。
唯の後悔はため息と共に吐き出され、宙に消えた。
「もういい……うるさくなってきたから俺は戻る」
「あぁ……じゃあ俺も戻ろう」
逃げ道が塞がれた。
修哉は穏やかな笑みを唯に向けている。
______さっさと彼女でもつくってもらはないとこちらが困る。
小さなな決意を胸に、唯は食堂を出た。
……友人である修哉の、艶やかな頬笑みと共に。