BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 初恋は君だった 【BL】 ( No.95 )
- 日時: 2011/04/08 22:23
- 名前: 雲雀 (ID: aU3st90g)
- プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=hd6DQZdPqgg&feature=related
『会いたい』
何度そう願っただろう。
どんなに願っても、叶うことなんてないのに。
______うん、また会おう。
自分の言葉に、素直にそう頷いてくれた彼が愛しかった。
「好き」とか「愛してる」とか、そんな言葉を知らなかった頃。
どんな言葉で、この想いを表せばいいのか分からなかった。
そのような言葉を覚えた今でも、この底知れない想いを伝える言葉は見つからない。
いくら言葉を重ねてみても、この想いに届く言葉は無かった。
『好き』
ただ、それだけの想いなのに。
そう考えては、答えは見つからず、想いの強さだけが心に言い知れない切なさと愛しさを残していく。
叶ってしまえば……約束は消える。
ずっと______彼との約束だけを頼りに生きてきた。
たった一度でいい、もう一度だけ『会いたい』。
会いたいけれど、もう二度と『会いたくない』。
矛盾する想いは、どこへ消えるというのだろうか____________
◇
「______祐稀っ!!」
声のした方を振り向けば、少女のような顔立ちをした少年が、こちらを見上げていた。
その瞳に、多少苛立ちを含ませながら。
「どうした?ぼーっとしてるみたいだけど……気分でも悪いのか?」
心配そうに瞳を揺らがせる唯に、苦笑せざるをえない。
【初恋の人の事を考えていた】なんて言ったら、唯に張り倒されそうだ。
「いや……平気だ」
曖昧に笑ってみせると、不服そうだが、渋々と引き下がってくれた。
いつもそのくらい素直だと助かるのだが……。
「嘘吐き……______」
唯の薄い唇が、切なげに言葉を紡いだ。
その姿が、彼と重なる。
「……っ……!!」
______絶対だよ……っ、絶対……約束だからねっ……!!
涙を流しながらそう言ってくれた彼に、不器用な俺は、上手く言葉を返すことが出来なかった。
涙を拭いたくても、拒絶されるのが怖くて、その白い頬に手を伸ばすことが出来なかった。
『会いたい』
二人の想いが重なる。
すぐ傍にいるのに、届かない______
(届かなかった手)(伝えたかった想い)
再会の日は、近い。