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【あなたにあげる。】









　時に薔薇を。
　時に棘を。
　時に歌を。
　時に嘘を。

「あまいうそ。」
「にがいうそ。」
「やさしいうそ。」
「かなしいうそ。」

　そこに正義はあるの？
　そこに悪はあるの？
　そこに偽善はあるの。
　そこに、君はいるの。

　うそをのみこんで。
　君を呑み込む。
　丸ごと、ぜんぶ。
　ああ、そこに愛はあるの。

「悲しいカニバリズム。」
「悲しい歌。」
「優しいカニバリズム。」
「優しい歌。」

　矛盾するこの世界。
　矛盾した人間。
　常識という盾。
　非常識というクレイジー。

　幼稚な君。
　綺麗事なんていらない？
　ああ、なんて幼い。
　そこにそれがあるから、これ。

「綺麗事で塗りたくられた世界。」
「真実で染まる世界。」
「嘘しかない世界。」
「それより綺麗事の方がマシ。」

　綺麗な世界の作り方。
　真実なんて無くせば良い。
　嘘で塗りたくれば良い。
　綺麗事で誤魔化してしまえば良い。

　ああ、それは幸せ？
　綺麗なだけで、幸せなんて無い。
　本当の幸せ？
　幸せな時ほど、不幸はやってくるの。

「幸せな不幸。」
「不幸な幸せ。」
「二人は巡り逢う。」
「そしてそこで、一つになった。」

　そこでやっと気付くの。
　二人の幸せを。
　不幸を嘆く人程阿呆らしい。
　曖昧な幸せが一番幸せ。

　傍から見れば不幸。
　その人から見れば幸せ。
　人の幸せを否定する自称幸せ者。
　ああ、気付いて。

「あなたが思うほど世界は優しくない。」
「あなたが思うほど世界は厳しくない。」
「世界ってなに。」
「それが、世界。」

　そう。
　曖昧で良いの。
　はっきりとしたものは良い。
　人間だって曖昧。

　表情、気持ち。
　外見、内面。
　矛盾する。
　ぐらぐらと揺れて溶けた。

「転がって痛みを知る。」
「雑に貼られた絆創膏。」
「時には心の手当てだって必要。」
「痛みだけの世界なんてない。」

　君は知らない。
　ごちゃごちゃな世界を。
　あなたは知らない。
　曖昧な世界を。

　林檎を齧る恋人ふたり。
　ああ、一緒に堕ちて。
　どこまでも、深く。
　甘い夜へ。

「これ。」
「それ。」
「あれ。」
「どれ。」

　仲間外れ。
　言葉は人を傷付ける。
　暴力は人を傷付ける。
　人を傷付けないで生きる？

　そのままで良いの？
　戦わないのに負け？
　戦わないのに勝ち？
　戦いなさい。

「平和ボケ。」
「平和。」
「鳩。」
「飛ぶ。」

　曖昧なしりとり。
　絡みつく指。
　指切りしましょ。
　嘘吐いても、何もない。

　言葉だけの約束。
　ああ、私は知っている。
　あなたを。
　あなたの言う世界を。

「君の世界は僕のもの。」
「あなたの世界は私のもの。」
「だから僕の世界は君のもの。」
「だから私の世界はあなたのもの。」

　何も怖がることなんてない。
　ただ、前を向いて生きる。
　時々、後ろを振り返る。
　それで良いの。

　君が生きてるだけでいい。
　あなたが生きてるだけでいい。
　そこに、ふたりが居れば良い。
　そして、おやすみ。






　　　　　　　　　　甘い夜のできごと。






　(お眠りなさい、) (夜が明けるまで。)

　　　　　【Fin.】

　もう何書いてるのかわかんない。

　作業BGMがピアノ・レッスンなのでそれっぽい感じになってます、はい。
　それにしてもacaneさん歌上手すぎ。





　ここまで読んでくださり、ありがとうございました！