BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【企画】ヘタリアでBL小説。【実施中】 ( No.104 )
日時: 2012/04/20 20:09
名前: 夜藍 (ID: xBHsg906)

企画episode1
「見えない星」
・初恋組です。企画のやつです。

春だ。

ふと神聖ローマはそう思った。
色とりどりの花が咲き、その香りがそこらじゅうに広がっている。
甘いような匂い、爽やかな匂い。
それらの花を手に取り、少し微笑む。
可愛らしい花が大好きなあの子に見えたからだ。

最近、泣いてばかりいるあの子を、笑わせてあげたいのに。

そう思い、花を摘み取る。

「これを持っていけばイタリアも笑顔になるかな…」

そう呟いた。

彼女の部屋に行くため小さい歩幅ながらもスピードを上げてゆく。
早く彼女の笑顔を見たい。
その一心で。

やっと着いたかと思うと、その部屋の中からはすすり泣きが聞こえてくる。
また泣いているのか、と思いながら重い木戸を開けた。

いきなり光が射し込んだからか、イタリアは目を細めた。
その頬や睫毛は濡れており、先ほどまで泣いていたことがうかがえる。
だが今は突然の来客に驚き、木戸を閉めた後、目を大きく見開いた。

「神聖ローマ…」
「また、泣いてるのか?」
「…う…ぇ……っ。」

また嗚咽を堪えながらすすり泣きが始まる。
その様子に神聖ローマは困惑した。
泣かれるのは嫌いだ。自分が悪い事でもしたかのように責め立てられるからでもあるが、今はそうじゃない。
____________________好きな人を泣かせてしまうのは酷い事だ。
どこぞの大嫌いな金髪ロン毛がそう教えてくれた。
あいつの事は気に入らないが確かにそうだと思う。

だから___________________________

「…イタリア。」

花を差し出した。摘んできたあの花を。

「これ…は?」
「最近お前外に出ていないだろう?だから今庭に咲いてる花を摘んできたんだ。」

花を手に取り鼻へ近づける。

「ねえ、神聖ローマ。」
「なんだ?」
「おわかれなんでしょう?オーストリアさんが言ってたの。おわかれだって。さよならするんだって。」
「そうだ…けど。」

お前から言われるなんて、と手にきゅっと力をこめた。

奇跡が起こるなら君の笑顔抱きしめさせて最後に…
「イタリア。」
「…なあに?」

ただぎゅっと抱きしめた。




もう、会えないかも知れないから










でも帰ってくる。
帰ってくるから…
だから待ってて。