BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【企画】ヘタリアでBL小説。【実施中】 ( No.118 )
日時: 2012/04/28 11:26
名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)

episode26
「例え話」
・お花夫婦です。初恋組っぽいのも少し。捏造あり。国名表記。


「ねえねえドイツ…」
いつものようにソファーでくつろいでいたドイツの隣にイタリアが来た。
ペタン、と座り込みドイツの膝の上に頭を乗せて寝そべる…もとい膝枕をしてもらいながらイタリアは言葉を続ける。
「もしもドイツの大切な人がこの世から消え去ってしまったらどうする?」

えらい残酷な質問だな、とドイツは眉をひそめた。
「考えた事もない。兄貴は国としては消滅してしまったが…まだ存在としてはここにいるからな。」
正直な返答だった。

「そっか…」
そう呟いてイタリアは笑った。
「お前は、何かあったのか?」
「…大切な人が消えてしまう事?」
「ああ。」
聞いてはいけないような、そんな質問をしてしまった気もする。ドイツが「やっぱり話さなくていい」と言うよりも先にイタリアが話し始めた。

「…あのね。この戦いが終わったらまた一緒に…そう言って別れた子がいたの。結局その戦いでその子はこの世から、この世界からいなくなってしまったけれど。」
目を閉じてただ静かに言葉を紡いでいく。
「信じれなかった。そう、最初はね。」
ただ薄く笑いを浮かべて。
「でも“信じたくない”に変わっていったの。」
どこか虚ろな目をして。


「どう違うんだ?」
「…“信じれない”は物事を全面的に否定して、なにも飲み込まない、なにも知らないって感じでしょう?“信じたくない”は物事を飲み込みながらもそれでも否定するの。違うって。」
そう言って無理に笑っている表情のイタリアをドイツはゆっくり抱き寄せた。
「分かるようになってたの。でも信じたくなかった。」
その言葉にはもう誰もいなくならないでという裏の意味が込められているようで。

イタリアの額にドイツはキスを落とし、
「俺はできるだけそばにいるから、心配しなくていい。」
そういって笑った。
「ドイツ男前〜ありがとう!!」

ドイツに抱きかかえられたままお礼をいうイタリアの視線は一寸先の部屋の隅に向けられていた。






立てかけられた古いデッキブラシ。



それを見て、イタリアは微笑んだ。