BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【企画】ヘタリアでBL小説。【実施中】 ( No.143 )
日時: 2012/06/19 14:58
名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)

episode33
「警告」
・なんでここでっ!このCPなんだよって思ったそこのあなた!新境地開けてたのに書く機会とネタが無かったからだよ!というわけでまさかの西英ですうへえ。人名表記。


自分と同じ瞳の色をした、そいつ…というかもう“それ”って言いたくなるようなそいつは、完全に自分の方を見ていた。
…っていうより、睨んでいた。

アーサーはちらり、とそちらを向く。
睨み返すわけでもなく、かと言って見つめるわけでもなく。
これではせっかくバーに来たのにカウンターに座れないとやらつまらないことばかり頭をよぎっては消えていく。
睨んでいるそいつが気にならないわけでもないが、だからと言って気にしたら負けだと思っていた。


アーサーと、アーサーを睨んでいるそいつ…アントーニョは言わずと知れた犬猿の仲だ。


どちらかというとアントーニョがアーサーを一方的に嫌ってるという感じだが、アーサーもそんなに自分が嫌いならこっちだって嫌いだ!というどうでもいい精神を掲げている。

なので本当なら近づきたくないのだが、あいにくカウンター席が一つしか空いていない。
_______________アイツの隣なんて、ついてねえなあ…

少し溜息が出そうになったが別に、自分がそこまで忌み嫌ってるわけでもないので我慢することにする。
いや、自分は嫌いなんかじゃない。寧ろ…
__________あー考えるな考えるな…。

首を振りながらカウンター席に座る。
座ると、アントーニョがまたチラリとこちらを見て嫌悪感を顔で示す。
あーそうかそんなに嫌いかよ、とアーサーは苦笑した。ここまで嫌われると逆に清々しい。

アントーニョが酒を飲んでいないことが何よりもの救いだった。
飲んでいたら殴られるとかもうそんな騒ぎでは済まなかっただろう。
少し想像してまた苦笑する。と、そんなアーサーを不機嫌そうに口を尖らせながらアントーニョが見ていた。

「…んだよ。」
いきなり、と言う意味も込めてアーサーはその言葉を放った。声が低くなってこちらも不機嫌そうに聞こえただろう。少し反省する。
「なんで隣に座るねん。」
アントーニョの方がさらに声が不機嫌だったが。

「カウンター席がここしか空いてねえからだよ。」
「俺にちょっかいかけようとかちゃうやろな?」
「…んでそんな事いちいちしなきゃいけねえんだ、子供じゃあるまいし。」
少し眉をひそめるアーサーを、アントーニョは、はっ、とバカにするように笑う。
「お前は十分子供やと思うで。少なくとも俺はな。」
「うるせえよ、俺は立派な大人だ。」
アントーニョの方を見て、アーサーは笑う。少し嘲笑に近い笑みだ。
こういうところが、アントーニョをイラッとさせる要因なのだが。

「あと、そこ俺がいっつも座ってる席なんだけどなー。」
言われた瞬間、アントーニョの頬が薄く染まったような気がした。
だが気のせいなのか…アントーニョはいつものへらへらとした表情に戻る。
「知っとるわ、アホ。」
「じゃあなんで座るんだよ。お前は俺の事が嫌いじゃなかったのか?」
「さあ、なあ。勝手に嫌いだの判断せんとってほしいわ全く。」


…期待させること言ってんじゃねえよ、このバカ。


警告音は、とっくに頭の中で鳴り響いている。
これ以上近づけば傷つくのは自分だと。やめておけと。
頭の中では分かっているのだ。

_________でもなあ。



分かっていても、無理な事はある。諦めきれないことだって。







     沈まぬ太陽の様な炎が 私の足元を燻る


目障りな様で、実は見えない光りに
なっているような、いないような。