BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【企画】ヘタリアでBL小説。【実施中】 ( No.147 )
- 日時: 2012/07/08 09:57
- 名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)
episode35
「曖昧、みー、まいん。」
・アルが片思い。米日です。学パロ。人名表記
「アルフレッドさん、どうかなさったんですか?」
大量のノート_________恐らく委員会の資料の物だろう______を抱えながらアルフレッドに問いかけた。
抱えるノートは相当な重さになるだろう。それを抱えながらも菊はニコリと笑う。
教室の中は本当にうるさいが、菊とアルフレッドの間には静かな空気が流れた。
その黒い瞳を見ているだけで、胸の鼓動が高鳴るんだよ…
アルフレッドは心の中で思った。
静かに、静かに…
「なんでだい?俺の顔に何かついてるのかい?」
さっきの菊の問いに対してアルフレッドは疑問を投げかけた。
そんなアルフレッドの様子に菊はふふふっと吹き出して「違いますよ。」とまた笑う。
「話す前に、隣の席に座ってもよろしいですか?あまりにもこれは重くて、老体にはきついです…」
菊は笑いながらも老人くさい事を言う。別に彼は見ただけでは普通に学生なのだが…
隣の席の机に資料を置いて、菊は椅子に腰を掛ける。
カタン、と小さな音を椅子が立てると、堰を切ったように菊は話し出した。
「アルフレッドさんは顔に出やすいんですよ…。なにか悩み事でも?」
そう言ってアルフレッドの顔を覗き込む。本当に心配しているのだろう。眉毛がハの字になって、目が潤んでいる。
その様子に、アルフレッドは苦笑した。
苦笑するほかなかった、というのが正しいかもしれない。
________君の、せいだっての。
「そういえば、この席どちら様の席で?」
「ああ、アーサーと言う名のクソ眉毛の席だよ。」
その名を聞いて菊は少し目を見開いた後視線を下に落とした。睫毛の長さに、少しドキリとする。
だがすぐにアルフレッドに向き直り、「クソ眉毛なんてひどいですよー。」と笑った。
知っている。この反応が何なのか。
アルフレッドもずいぶん前から気が付いてはいたのだが、知らないフリをしていた。
好きな人に、好きな人が居る、という真実から目を背けて。
しかも相手が相手だ。
もうアーサーはアルフレッドのせいで何度となく傷ついてきた。
大嫌いだが、それでももう彼が傷つくようなことはしたくない。
アーサーも菊の事が好きなのだから。
二人が恋人の関係になる前に自分が告白してそれを阻止しようと思ったこともあった。
だがそれは菊のなかなか断れない性格を利用した偽りのものにすぎないと悟ったのだ。
自分は何もせず、ただこうやって時が流れてゆくのを待つのみで。
曖昧、みー、まいん。
自分の曖昧な気持ちに、終止符をつけれたらどんなに楽だろうか。