BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】箱庭の中で【BL、NL】 ( No.154 )
- 日時: 2012/07/11 16:50
- 名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)
episode36
「特別」
・シズイザのようなイザシズの様な。ツンデレ片思い?
臨也は携帯の電源をオンにして、タッチパネル式の携帯を指でなぞった。
今日は本当に収穫が無かった。途中で大嫌いなあいつに会ってしまったというのもあるだろう。
金髪に、バーテン服、煙草の香り。
見ればすぐわかる、大嫌いな、それは。
今日は少し逃げるタイミングがズレた…気がする。
心の中で苦笑した。自分の身体能力は使わないうちにこんなに衰えたのか。
最近顔を合わせることが滅多にないため油断していたら…これだ。
「全く、シズちゃんもよく懲りないで俺を追いかけれるよ。」
携帯のパネルを触りながら眉をひそめた。
シズちゃん、というのは池袋では有名な平和島静雄の事だ。
すうっと人差し指を左に動かすとその静雄の写真が表れた。
「もっとこう、他の事に使えないのかなあーあの力。」
金髪の大きな怪物の姿を思い浮かべて首を振った。苦笑しながら「シズちゃんが善意にあの力は使えない。」と呟く。
「あーもうっ!本当に大っ嫌い!」
携帯をベッドに投げつけた後、ベッドに体を預ける。
一つ、そこで思った。
臨也は人間を何よりも愛している。誰よりも、人間と言う種族を。
その中でも彼は違った。
人間でありながら怪物で、人間なのに唯一大嫌いな、嫌悪感しか持てない相手。
そう、彼は違うのだ。臨也が愛している人間でありながら“大嫌い”なのだ。
それは裏を返せば彼だけが「特別」という事になる。
考えて、枕に顔をうずめる。
違う、違う。と言い聞かせて。だが一度考えると止まらないのが現状だ。
「嫌いなのに…人間じゃないくせに…ずるい…」
呟きながら携帯に手を伸ばす。
写っている怪物に向かって、一言掠れた声で臨也は反論した。
「バーカ。」
その反論の一言は結局臨也の頬を染めてしまい、自分の気持ちを肯定する形になってしまったのだが。