BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【二次創作】箱庭の中で【BL、NL】 ( No.166 )
日時: 2012/07/13 08:08
名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)

episode38
「甘味」
銀桂です。甘々…っていうのかどうなのか。


小さい頃、彼の髪の毛を触りたくって、触ったら怒られたことがある。
そんなことでなんで怒るんだ?とあの時は首を傾げたが、今考えてみればあの銀髪と赤い、紅い瞳は周囲から好機の目で見られていた。
それを触発するような事をしたのだから、彼が怒っても当然なのだが。

そんな事を考えながら桂はお茶をすすった。
いつもより味が薄いような気がする。多分お茶っ葉をケチっているのだろう。万事屋は今経済状況がえらいことになっていると聞いたが、ケチるとこは果たしてここなのか。

「おいヅラ、茶が薄いくらいで文句言うなよ?」
ひょこっと顔を出すのは先ほど思い出していた彼_________________坂田銀時だ。
その言葉に桂は口の端を引きつらせ、「ヅラじゃない、桂だと何回言えば良いのだ。」と苦笑する。
「お前はヅラでいんだよ。それで定着してるから。今更言い方変えたら読者が困惑するから。」
「名前をちゃんと言ってもらえない気持ちが分かるかお前に。」
「んなもん長谷川よりマシだろうがよ。マダオだぜ?まるでだめなおっさんだぜ?人生投げ出したくなるね!マダオ、マダオって読者に言われたら。」
そんな事を言いながら銀時は桂の隣に腰を下ろす。

その右手には、


イチゴ牛乳。


「いやちょっと待て銀時。お茶はケチっておきながらこれは買うのか?おかしくないか?」
少し桂は呆れた。こんな時になってまでそれは買うのか。
桂の呆れ顔を見て銀時はやれやれ、と首を振った。非常にムカつく。
「お前は甘いもん食べねえからなーこの美味しさが分からねえんだ。あーお子様だことー。」
「武士は質素な物を食していればよいのだ。それにイチゴ牛乳ガブガブ飲む奴にお子様と言われる筋合いはないがな。」
呆れ顔のまま桂は言う。だがいきなり表情が変わる。

なぜか、笑顔に。



桂が体をひねらせ、銀時の方を向いた。
そしてそのまま抱き着いて髪の毛を撫でる。
「…何やってんだよ。」
「いや、もふもふしてるな…と。気持ちいい…。」
「ある意味変態だぞお前。」
と言いながら、銀時も桂の頭を撫でた。
その直後に桂の顔が、銀時の顔にぶつかりそうなくらい近くなる。

そして。

静かに接吻した。



「…甘いな。」
先に声を発したのは自分から接吻した桂で、銀時は少し赤い顔で「甘いのは食べねえんじゃなかったの?」と問う。
桂はニコッと笑った。

「たまには甘味も必要だ。」

そう言って、また口を塞いだ。