BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【二次創作】箱庭の中で【BL、NL】 ( No.172 )
日時: 2012/07/13 19:49
名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)

episode39
「少しだけ」
・かなしゅんですお。


そっと、手を置いた。
ただそれだけの行動にどれだけ勇気が必要だっただろうか。
春は赤い顔をしたまま俯いた。

野球部の大きな声、バッドに打ちつけられるボールの音。

グラウンドとは打って変わった静まり返った教室に二人はいた。

「…春?」
「はいぃぃぃ!?」
緊迫した雰囲気を打ち破ったのは春自身の叫び声だった。
いきなり発せられた大きな声に要は目を見開いて、数秒後吹き出した。
「ちょっ!要くん?何笑ってるんですかぁ!」
「だってお前、緊張しすぎ。」
笑いながら要は春の頭を撫でる。
そして春の手を握った。
「俺だって恥ずかしいけどな…。」
春にも負けないくらいの赤い顔で。
「僕だって…。」



その日、要に手を引かれて春は帰った。
夕焼けが目に染みる。
そっと握り返した手のひらに願いを込める。

あと、少しだけ、少しだけ。

隣にいる時間を長く…。