BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】箱庭の中で【BL、NL】 ( No.184 )
- 日時: 2012/07/27 12:17
- 名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)
episode41
「手のひら」
・銀桂です。前と比べて切なめ。桂さん女々しいです。
「久しいな。」
そのかけられた声に誰だろう、という思考より、ああコイツだな。という確信が先に頭を駆け巡るのはおかしい事だろうか。
そう思いながら、桂は振り向いた。
「銀時。」
「ヅラ、お前一か月もどこに行ってたんだよ。」
どこって、と桂は苦笑した。どこと言うほど遠くへは行っていない。
「ただ調査してただけだ。色々とな。」
「あっそ。」
そっけない返事だが久しぶりに会えたからだろうか。言葉の割には声が上擦っている。
銀時はそういうところが分かりやすい。だからこそ桂も彼が好きだった。
好きだった、のだが。
「一か月も遠いとこにも行かないで、会わないなんておかしいよな、ヅラ。」
桂の後ろ姿にかけられた銀時の言葉はあまりにも鋭かった。
先ほどの上擦った声が嘘のように、
冷たく、
鋭く、
斬りかかる。
まるで昔の彼の様に。
「ばれていたか。」
「そりゃばれるわ。お前分かりやすすぎんだもん。」
桂が溜息を一つ吐いた辺りで銀時がまた鋭く斬りかかる。
「一か月も、お前なんで俺の事避けてたんだよ。」
「________それは。」
言葉に詰まり、唇を噛む桂の頭を銀時は優しく撫でる。
そして先ほどとは打って変わった落ち着いた優しい声音で桂に囁いた。
「あの日からだよな。俺がお前の手を握ってから。」
どうしたんだ。訳を話せ、と撫でる手を見つめてから桂は淡々と語りだした。
「_____手を握るのが、怖かったんだ。」
攘夷時代。
共に戦っていた銀時は自分から戦線離脱することを選んだ。
どうしてだ?と必死に迫る桂に銀時は空を見上げながら答えた。
「もう、仲間が死んでいくのは見たくねえ。血も、全部、何も。」
その答えに、桂は声が出なくなった。何も言い返さなかった。
そして、その時掴んでいた銀時の右手が、
桂の左手からするり、と抜けていく。
二人が一度決別したあの日が、手を繋いだらまた来てしまうんじゃないかと怖かったのだ。
こうやってまた一緒にいられる日々も愛し合える日々も、終わりが来るようで。
「だから一か月前、銀時が俺の手を握ってきたときに怖くて、離してしまった。」
「……」
「それからなんとなく気まずくてお前の事を避けていた。」
その一言を聞いて数秒で銀時は桂の額にデコピンした。
「…何をする。」
そして何も言わず桂の手をひいた。
「ぎ、銀時っ!?」
「大丈夫だってー。俺はどこにも行かねえ。あの日別れた道だって今は同じ道だろうがよ。」
そう言って桂を引き寄せ、抱き寄せる。
「だから心配すんな。この手も、指も俺が握っといてやるよ。折れるまで。」
「最後は余計だ。」
赤くなりながらも冗談に返す桂に銀時は接吻する。
「なっにっ!?」
「…慌てすぎ、あと赤くなり過ぎ。」
桂は慌てて開いている右手で顔を覆う。
大丈夫、一度離れた手も、繋がるから。
「愛してます。」
「こちらこそ。」