BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【二次創作】箱庭の中で【BL、NL】 ( No.189 )
日時: 2012/08/06 13:41
名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)
プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=rUY3XUmie68

episode42
「番犬より番犬ですね。」
・曲お題のやつです。曲はサンドリヨンの番犬。シズイザ。パラレルなうえ、女装注意。

「王子様はまだかなあー。」
臨也は窓からぴょこぴょことはねて窓の外を見た。
自分の身長は小さくない筈なのにその身長を上回り、見えないところに窓があるなんて意地悪にもほどがある。
このお城、本当に息苦しい。

「あんまり飛び跳ねちゃダメだよ、臨也。」
優しい声音で臨也を叱るのは幼馴染兼家来の岸谷新羅。
顔もニコニコとして優しそうだし、しっかりしてるようにみえるが恋人の前ではデレデレだ。いくら幼馴染とはいえ臨也も多少引いた。
そんな新羅だが一応臨也の事は理解している。理解できないと言っている事の方が多いが昔から一緒にいるからだろうか、いつも臨也に関しての事は的を得ていることが多い。
そんな新羅に臨也は向き直り、ひらひらとドレスの裾をつまみながら笑う。

「いいじゃん、俺は今幼気な王女様なんだから。」
幼気な、と聞いて新羅は吹き出した。
「お前に一番似合わない単語だよ、それは。」
「あらあら酷い事を言うのね。幼馴染さん。」
「その女口調気持ち悪いからね。」
眼鏡の縁を手でこすりながら新羅の辛辣な一言。
それを気にしまいと長い黒髪を手でいじる。もちろん地毛ではなくウィッグだ。

「なんでそんな女装してるの?」
「今更だね…普通それ最初に聞かない?…まあ新羅は普通じゃないからいいとして。」
先ほどの新羅の言葉にやはりムカついたのだろうか。きつい口調で言葉を返す。
一方の新羅は苦笑し、「わかった、ごめん。」とあっさり謝った。
その様子に臨也は満足げに笑みを浮かべ、腰に手を当て胸を張る。
「それでよし。まあ、簡単に言えば気に入らない奴がいるわけだ。そいつを堕としたいだけだよ、奈落の底に。」
「うっわ、それって隣国の王子でしょ。荒くれ者の…。あーだからか、わざわざ舞踏会になんて行ったの。」
新羅のうへえ、という顔に臨也は「当たりー」と無邪気に笑う。
「ガラスの靴履いて行ってやったよ。」
「どこのおとぎ話ですか。灰かぶり姫?」
「まあそれに似てるけど、俺はあの女の子みたいにおっちょこちょいでも優しくもないからね。ガラスの靴なんて落としてきてあげてないよ。」

臨也のニヤリと笑う顔にまたよからぬことを考えているんだな、と新羅は悟った。
止める気もないが、隣国と戦争とかはごめんだなーと能天気に考えたりする。
「で?じゃあそいつはどうやってお前を見つけるのさ。」
「あいつは鼻がいいからね、うちの番犬並みに________ほら。」
臨也が振り向くと同時に何かの爆発音かと思われるような大きな音がした。
鼓膜が破れてしまいそうな破壊音に新羅は思わず目を瞑る。
「舞踏会を台無しにした最低女なんてすぐ分かると思うよ。ま、女じゃないけど。」
「灰かぶり姫が自ら灰かぶってるよ、それ。」
新羅は呆然と外の様子を見ながら臨也に言う。
「さあ、凶暴な護衛の監視を潜り抜けて彼はここまでこれるかなあ?」
「いや監視潜り抜けるって言うより殴りまくってるからね?武力で制圧しちゃってるからね?っていうか臨也、これどうすんの!?」
「会いに行ってくる。」

凛とした眼差しのまま、臨也は階段を駆け下りる。


門の前、倒れている護衛たちをチラリと見た後、目の前に立っている金髪を見上げる。
「ずいぶんと派手にやってくれましたねー…うっわもう死にかけ。」
目を逸らし、血を流す護衛のもとにしゃがみこむ。頬をつついたりして意識を確かめているのだろう。
「…てめえ、ずいぶんと調子こいてるな。」
「いいでしょ、別に。ごめんなさいね、私ねえ…君の事好きみたい。」
「はあ!?」
「まあ、残念ながら男ですが…。あ、それは知ってるか!」
白けた眼差しを向けてくる金髪に臨也はナイフを首につきつける。
ひんやりとした金属に普通なら息を呑むが金髪は白けた顔のままナイフを掴んだ。





君がほんの少しでも 境界線を越えるのなら

灰まみれに燻るあたしを

丸ごと全部 飲んでくれますか?



悪い事しか考えれないけれど。




「俺と一緒に遊んでくれる?」
「上等じゃねえか。」