BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【二次創作】箱庭の中で【BL、NL】 ( No.196 )
日時: 2012/08/07 12:02
名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)

episode44
「優しさと毒」
・土沖です。暗めでシリアス。沖土に見えるけど土沖です。


「総悟、お前今なんつった。」
仕事を着々と進めていた土方の手が止まる。
畳の部屋でおなじみのアイマスクをしながら寝ている沖田はニヤリと笑い、飛び起きた。
アイマスクを外し、ニヤリと笑う。
「だから、付き合おうって言ってるんでさぁ…土方さん?」

首を傾げるような形で沖田は笑っている。可愛らしい仕草だが土方は何とも思わず溜息を吐いた。
「付き合うって…そういう事か?」
「はい、そういう事ですよ。」
沖田の言葉に土方は眉をひそめる。
「男同士だぞ、正気か?」
「正気ですし、別に昔よくあった事じゃないですか。俺ァ土方さんと付き合いたいです。」

沖田の笑顔と大きな瞳は確かに自分を見据えている。
この思いをどう受け取るものかと土方もまた沖田を見つめ返す。
「ねえ土方さん、早く答えを出してくだせぇ。」
じっと見つめてくる茶色の双眼に土方は答えを出した。

「無理な話だ。俺の事は諦めろ。」
「そういうと思ってました。」
一瞬土方には沖田の瞳が揺らいだように見えたがもう一度見やるといつもの眼差しに戻っていた。見間違いだろうか。
「それは、俺が姉上に似てるからですかい?」
その言葉に土方はぴくり、と反応する。
煙草をふかしながら土方はただ「さぁな。」とだけ答えた。

沖田は無表情のまま膝を抱えた。
土方は一瞬泣くのかと思ったがそうではなく、ただ無表情のまま膝を抱えゆらゆらと揺れ出す。

知っていた。
隣で土方を殺してやろうと常日頃思っている沖田は分かっていた。
彼はずっと自分の姉が好きなのだ。
忘れられない。
だからこそ性格は真逆でも顔の似ている自分とは付き合わないのだろう。
また思い出してしまうから。
きっとその時愛しているのは自分ではなく姉の方だから。

「総悟、おい。」
「…すんません、ボーっとしてやした…。」

土方に呼ばれハッとする。
そんな沖田を土方は先ほどの出来事を忘れたとでも言う様にそっと抱きしめた。
「何するんです。」
「お前がそんな微妙な顔するから。」
沖田は土方の背中に腕を回し、服にぎゅっとしがみついた。
「ひどいです、こんなの。」

優しくされたらまた貴方を好きになるじゃない。


「この優しさは、俺には毒のようなもんでさぁ…」