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episode４５
「いらないもの」
・玉犬です。二人とも原作よりはるかに純情です。もっと二人シリアスで怖いです。

殺されるために生まれてきたのではないか、と俺は思った。
犬神、という妖怪は…俺はただ殺されるために生まれてきたのでは、と。

彼は歪んだ愛情で、それでも俺を愛してくれたし、不器用だけどたまに優しい。でも、歪んでる。
歪んでたっていいと思った。だって玉章の事憎いけど、大好きだから。
俺を絶望の淵から、救ってくれたのはアイツだし…だがやり方は少々寒気がした。

俺は憎しみが増すほど強くなる妖怪だ。
それを知ってだろう。玉章は俺を後ろ手に縛り、部下たちに痛めつけさせた。
部下と言うのは人間だったが、憎しみと苦しみが絶頂に達した俺はそこにいた玉章と針女以外を食い散らかした。
簡単に言えば殺した。
その時の玉章の笑顔は忘れない。コイツはとんだ化け狸だ、と確信した。
笑顔で俺を迎え入れて、きっとこいつらの様にいらなくなったら切り捨てるのだろう。残忍な奴だ、と。

化け狸だって知ってたよ。
でも少し信じたかった。俺とのそれは嘘じゃないのかと震える声で聞いたことがある。
玉章は少し驚いた顔をして、「そんなことはない。僕は犬神を愛してる。」と言って俺の頭を撫でて、額にキスを落とした。
信じたかった、けど。




いらないもの切り捨てる君の姿が、
目の前に見えて、
俺を消し去る瞬間の、
君はどんな顔してた？

俺はどんな顔してた？