BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【二次創作】箱庭の中で【BL、NL】 ( No.203 )
日時: 2012/08/11 10:24
名前: 夜藍 (ID: Es192lT0)

episode46
「鮮血」
・高桂です。一応攘夷時代です。高桂にしては幸せで柔らかいと思う。

そっと触れた唇は鉄の味がした。
ぞっとするほど鮮やかな紅い血を唇から流しながら桂は乾いた瞳で前を見据える。
獣、という単語が今のコイツにはどれだけお似合いだろう、と桂は思う。

「何だよ、その瞳。」
「べ、つに。」
切れた唇の______いや噛みちぎられたと言った方が正しいだろう____の痛みに桂は少し顔を歪める。
薄暗い部屋を明かりが照らし出し、桂の表情を読み取った高杉はニヤリと笑った。

「お前のその片目を、さっき無くした左目につけてやりたいぜ。」
「恐ろしい事を言うな。」
彼なりの冗談なのだが桂は苦笑するほかなく、数秒した後高杉の首に腕をまわした。

「なんでああいう事をする。」
「ああいう事って、接吻か?」
「そうだ。」
桂のむすっとした顔に高杉はぷっと吹き出す。
「何がおかしい。失礼な奴め。あと汚いぞ!唾飛んだ。」
「だってお前、子供みたいな顔するから…。」
「うるさい。質問に答えろ。」
口を尖らせながら桂が言うと高杉は「あーはいはい。」と言う。
「お前、俺の事嫌いなんだろう?こんな事する理由が分からん。」
「好きだよ、愛してるよ。でも嫌い。だから唇噛んだんだろうが。」
桂が「愛してる」という言葉に目を丸くして少し頬を染め、納得した。
唇を噛む、と言う動作に「嫌い」が含まれていたのか、と。

桂の唇から流れている血を高杉は血とはまた違う色の赤い舌で舐めとる。
ひゅっ、と身じろぐ桂に高杉は笑った。



貴方の鮮血は全て私が飲み干そうか。