BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【二次創作】箱庭の中で【BL、NL】 ( No.220 )
日時: 2012/08/21 10:56
名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)

episode51
「純恋」
・緑赤です。赤司様女体化で赤司様が乙女ですスミマセン。あと赤司様が色々と残念な人になってる。


最近、私はおかしいと思う。
自分で言うのもなんだけど、すっごい乙女になってしまった気がする。
それの原因は今、私の斜め前の席に座っているのだが。

その原因、緑間真太郎はただただ教師の話を聞き、ペンを滑らせていた。
黒板に書いてある文字を見るためふと顔をあげてから、目を伏せる。
目を伏せた時に男にしては長い睫毛が影を落としている。凄く綺麗だと思う。
このこういう光景が見れるからこの席はすごく居心地がいい。
ちゃんと勉強も受けてるけどね?
やっぱり気になるのは真太郎で、ぼーっとそっちを向いてしまう。
なんなの、これ。わけがわからないよ。


「…それどう考えても恋でしょう。」
お昼休み、その事を友人の黒子テツヤに話すとバッサリと切り捨てられた。
「はあ?私が恋なんてするわけないだろう?しかも真太郎に?」
「いやいや、恋する乙女状態ですから完全に。________まあ僕もそういう事は疎いのでよく分からないんですが。」
じゃあ意味ないじゃないか、と私が口を尖らせるとテツヤは「でも典型的なタイプなんでそうじゃないかと思われます。」と返してきた。どっちなんだ。
でも私もテツヤの事は言えない。やっぱり見つめ続けるのっておかしいっていうより恋なのかも。
だが私はそういう事には非常に疎く、この心臓がばっくんばっくんなり続ける気持ちが恋なのか、きゅーしんきゅーしんなあれを飲んだ方がいいものなのかが分からない。

むしろ、この気持ちを恋なのかもと疑ってしまった以上真太郎とどう話せばいいのか分からない。
同じ女子の意見も聞きたいという事で桃井にも話したが「まずは行動を起こすことからだよ!」と言われた。
いやそれが出来たら困ってないだろう。というか桃井の様に好きな奴に飛びつけと言うのか?無理だろう、絶対無理だろう。ありえない!

今日は絶対真太郎に会わない。いや会えない。
避けよう!今日は避けよう!明日にはこの気持ちがなくなってるかもしれない!
そうしたらそれは恋じゃないって事だ。
自分に言い聞かせて体育館へ向かう、と。

「…おい赤司。」

急に声をかけられた。
聞きなれすぎたその声に私はびくっと身を震わせる。
嘘だろ…マジですか、この展開いらない…
そう思いながらゆっくり振り返る。

「な、なにかな?」
最初の方言葉が詰まってしまったが表情はいつも通りだ。きっと気づかれていない。
ただ心臓はあり得ないほど脈を打ち、喉はからからに乾いている。
み、みず…くれ…。
というか真太郎の用事はなんなんだ?と心の中で首を傾げる。
すると真太郎はポケットに手を突っ込み、何かを取り出した。

「これ。」
「あ。」

差し出されたのは将棋の王将の駒。
この間の一局の時失くしてしまったと思っていたら真太郎が持っていてくれたのか。
「ああ、ありがとう。」
「落としていったから一応拾っておいた。」
「そうかい。…ねえ。」
私は自分よりずっと大きい真太郎を少し見上げるような形で呟いた。
「一緒に体育館まで行こうか。」
「…ああ、いいが別にいつも一緒に行ってるではないか。」

…そうだったけなあ。
ぼんやりと考える中で私は真太郎の手から王将の駒を受け取った。


あの時の私の体温はどれだけ熱かっただろうか。
熱が、彼に伝わってなければいいけれど。