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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【一周年】箱庭の中で【ありがとう】 ( No.225 )
- 日時: 2012/08/29 15:01
- 名前: 夜藍 (ID: ty0KknfA)
episode53
「堕ちて 墜ちて 落ちて。」
・高杉さんが鬱ですスミマセン。
空中浮遊している舟から江戸の町を見下ろすのは何度目だろう。
憎むような、恨むような、そんな眼光で。
ああ、あの世界が、全部掬い取っていったんだ。
掬い取って壊したんだ。
自分を、アイツらを、先生を。
この世界を壊したくて仕方がなかった。
先生を自分から奪って言った世界が。
常識、なんてものを振り翳すそれを、壊して壊して。
そんな常識なんていらない。
自分がどんなに非常識だと言われても、狂ってると言われても。
でももうそれは。
冷たい風が、高杉の髪を揺らした。
くらり、と体も揺れる。眩暈の様なそんな感覚。
「ここから、いっそ、死んでしまおうか。」
途切れ途切れに紡いだ自分の言葉に高杉は嘲笑を浮かべる。
_____無理だ。出来ない。ここから飛び降りれもしねえ。
自分がここから飛び降りれたとしたら、死ねたら、誰か泣いてくれる人はいるのだろうか。
…いないだろう、な。
でも、うわべだけでもいい。せめてひとしずく、流してくれれば。
その後に、笑い飛ばしてくれれば。
堕ちて 墜ちて 落ちて。
自分は堕ちてしまったけれど、ここから落ちることは出来ない、哀れな人間。
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