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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】箱庭の中で【BL,NL】 ( No.228 )
- 日時: 2012/09/12 20:06
- 名前: 夜藍 (ID: ty0KknfA)
episode54
「届かない、それを貴方はまた」
・牛頭雪です。っていうよりリクオ←つらら←牛頭丸って感じかも。
願っても、願っても、どんなに願っても届かない事はこの世に溢れかえってる。
それは本人以外に見えないように作られていて、本人すら気づけば泣きそうになってしまう、それは俺の足元にだって転がっているもので。
「ちょっとお!牛頭丸!そんなとこに登ってないで手伝いでもしたらどうなの?」
「…面倒くせえ。っつーか俺じゃなくて他の奴に頼めよな。」
俺の声にゆきんこはぴくり、と片眉をあげる。
ぐるぐる渦巻いてる瞳がこちらをじっと見つめている。こっちまで目が回ってしまいそうだ。
いかにもムカついてますというような声音で「あのねえ、」とゆきんこは続けた。
「今日はリクオ様にお料理を作るって約束したのよ。だから他の仕事に手をまわしてられないの。人員不足なのよ!」
ゆきんこの声がすごく耳に張り付く。
ほらみろ、まあたリクオ様だ。
ゆきんこがアイツを好きなのは知ってる。
そしてそれが届かないのも、きっとアイツは自覚してる。
自覚しても、あきらめないのだ。
好きだから。好きで仕方ないから。
それが俺は気に入らない。
気に入らないのだ。何故かは知らないが。
依然としてこちらに視線を向けてくるゆきんこに「あーもうわかったから…」と溜息を吐く。
「何?洗濯でもやりゃーいいのか?」
「へ?やってくれるの?珍しい…。」
目を丸くするゆきんこをチラリと見て、「つらら、」と呟いてみた。
アイツは気が付いていないのだろう。でも俺はその一言でお腹の底から熱が湧き上がってきて、心臓が早く脈を打つ。
ああ、もうなんなんだよこれ…!!
「ほらー、さっさと来なさいよ?」
「わかってるって…」
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