BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】虹色パレット【BL、NL】 ( No.248 )
- 日時: 2012/12/25 11:16
- 名前: 夜藍 (ID: ty0KknfA)
- プロフ: やんだたかおちゃん
episode63
高尾の思考が分からない、というのは以前から思っていた事だ。
いや考えが読めないだとかそういう次元の物ではなく、それは、
________完全に狂っている、という。
そこまで考えたところで俺は一度目を閉じた。
目の前にいる狂人の顔から、現実から逃げるように。
逸らすのではなく、閉じた。
拒絶反応とも言えるようなこの行為が果たして高尾に何をもたらすかは分からないが…と思うと。
ばしゃり、何かが、俺の体を包み込み、
がらん、何かが、落ちる音がして
ごろん、何かが、転がる音がした。
ぽたぽた、何かが滴るのを感じる。
そこで何をされたのか理解した俺はゆっくり目を開ける。
と、そこにはにっこり笑みを浮かべた、とても不気味な不気味な高尾の姿があった。
「真ちゃん、目ェ覚めたぁ〜?」
「水をかけられれば覚めたくなくとも覚めると思うが?」
そう、水。
この真冬に水をぶっかけてきたのだこのバカは。
落ちた音、転がった音はバケツだろう。
掃除用具入れのロッカーが開いてキィ、キィ、と調子の違う音を立てている。
反抗して殴ってやりたいところだがそうもいかない。
高尾によりうたたねをしている間に後ろ手に縛られていたからだ。
「水も滴るいい男________なーんちゃってな!」
「うるさい、少し黙れ。」
鏡を見なくてもわかるくらいきっと今の俺は嫌悪感を露わにしているだろう。
高尾もそれを察して「むぅ〜」と口を尖らせる。
「んだよ真ちゃん、ご機嫌斜めかー?」
「誰のせいだと思っている。」
「まぁ、俺のせいだわなー。」
ギャハハ、といつも通り笑うその声に本気で俺は頭に来た。
「高尾っ!!いい加減に「ねえ真ちゃん」
叫び声を静かな声で制止し、窓を開ける。
ゆらゆらとはためくカーテンと共に冷たい冬の風が肌を撫でていく。
水を浴びた肌から体温が奪われる、冷たい冷たい風。
そしてゆっくりと振り返り高尾は「ねえ真ちゃん、」を繰り返した。
そして俺の目の前まで歩み寄り、しゃがみこみ、頬杖をついてニッコリ笑う。
「寒い?」
「ああ、寒いが。」
「真ちゃんこのままじゃ凍っちゃうかなー?」
「凍りはせん。」
「でもそのばっさばさな睫毛は凍っちゃうんじゃない?ほら外雪降ってるし。」
高尾の言う通り外は雪がちらついていた。
ふわふわした雪が教室の机に落ちて、溶けて、消える。
高尾はうっとりした顔で俺を見つめ、その後立ち上がり後ろの手のロープを解く。
そして耳元で囁いた。
「今から外に出て雪をかぶったらさあ、真ちゃんは世界一綺麗なクリスマスツリーだな!」
○めりーくりすます
_________それはとてもきれいで、
_________とてもざんこくな、
ほらいこう、と握られた手に込められた力の強さと、
狂気的な笑顔をきっと俺はずっと忘れないだろう。