BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】くるくるめりーごーらんど【BL、NL】 ( No.278 )
- 日時: 2013/02/05 10:24
- 名前: 夜藍 (ID: vIJhruab)
- プロフ: その場しのぎで笑って 鏡の前で泣いて 緑高
episode72
こんなに綺麗な人間は初めて見たんだ。
一日一日、まるで端の揃えられた本のページみたいな、それこそ決まったレールの上を進んでいくようなそんな人生を送っているそいつは今、俺とそいつ以外誰も居ない体育館で黙々とシュートを打ち続けていた。
「真ちゃーん、もうそろそろ片づけねーと怒られっぞー?」
いつもの調子で俺が言うとそいつ…緑間はこちらを向いて口を開く。
「あと、三本だ。」
「じゃああと三本で終わりなー」
こくり、と頷き俺のパスを受け取りまたシュート体勢に入る緑間をぼうっと眺める。
やっぱり、綺麗だ。
そこらの人とは違うんだといつも思う。
ふわりふわりとした意識の中考えていると緑間はシュートを打ち終わったのだろう。
俺に近づいてきて「帰るぞ」と言う。
その言葉に「あーいよ、エース様。」なんておちゃらけて返すのはお決まりだ。
そのまま着替えて体育館を出て、校門へ向かった。
街灯に照らされたチャリヤカーの影が見える。
今日もまたじゃんけんで負けるんだろうな、と考えていたら。
するり、と手に何かが当たった。
というより絡められた。
なんとなくそれがなんなのか分かっていたが少し下に目をやるとやはり絡められていたのは緑間の手であり指だった。
しかも、左手。
「真ちゃん…?」
「高尾、引かれるかもしれないが、俺はお前が好きだ。」
顔をあげて見えた真っ直ぐな視線に射抜かれそうになり、ぱっと目を逸らす。
「恋愛的な意味合いで、だ。」
二言目で息が止まりそうになった。
そして緑間の方を向いて「はは、」と笑う。
「冗談でしょ?だめだよ、真ちゃん、そんなこと。」
「冗談などではない、本気だ。」
やはり真っ直ぐな視線。
やめて、真ちゃん、呼吸が止まるよ。
「だめ、真ちゃん。」
もう一度繰り返し、俺は緑間の手を解いた。
悲しげにそれを見つめる視線がすごく苦しい。違う、違うよ真ちゃん。
「俺も、真ちゃんの事大好きだよ。そういう意味で好き。」
「…じゃあ、なぜだ?」
「真ちゃんは俺とは違うから。」
真ちゃんは俺とは違った。
とても綺麗な人間。真っ直ぐで、果てしなくどこまでも透明に俺は見えた。
だからその綺麗を汚したくはないんだ。
「真ちゃんは綺麗な人。でも俺は汚いから。汚れてるから。真ちゃんの事汚したくないよ。」
緑間に背を向けたまま一歩二歩と歩く。
「今その手を握ってしまったら、その手から俺の汚いもんが全部真ちゃんに入っていく気がして怖い。ごめん真ちゃん、だから、だからね。」
くるり、と振り返り今日も俺は笑うんだ。
「無理なんだ、俺はそんな事出来ないや。」
自分に嘘を吐いて笑う自分。
ああ、醜い。大嫌いだ、こんなもの
はやく消えてしまえればいいのにな。
○ギルド
________貴方みたいに綺麗じゃなくても
________呼吸をすることは許されますか?
きっと許されはしないだろう、だから、だから、今日この日に、