BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【二次創作】永久睡眠時間【BL、NL】 ( No.287 )
日時: 2013/03/15 15:23
名前: 夜藍 (ID: vIJhruab)
プロフ: 銀桂 壊れやすい話 暗い

episode76


口を塞がれた。


喋るなという事なのだろうか、その真意が分からないまま目の前の男を見上げた。
ボロボロ涙をこぼす姿はまるで子供の様で、その雫は雨が降り注ぐように俺の頬にポツリ、と一粒二粒落ちてゆく。
自分の頬の生暖かい雫を手の甲で拭いながら俺は眼前の男の頬へ腕を伸ばした。

ぴと、と指先が頬に触れるとさらさらと手入れの行き届いた黒髪が小刻みに揺れ反応する。
泣きじゃくっていた声が少し止んだ。

「なあ、ヅラ、どうしたんだよお前。」
「っ…っく…ぁ…だって…」
「だってなんだ?」
手のひらを頬にぴったりとくっつけ、親指で目じりにたまった涙をぬぐってやる。

ああ、目が真っ赤。お前そんなぐしゃぐしゃの顔してちゃダメですよー?いくら銀さんでもそれは…
冗談を言ってどうにかしてやろうと思った矢先に、ガバッとヅラが俺に抱きついてきた。

「え、ちょ、おまっ」
突然の出来事に体がついて行かず、そのまま畳の地面に倒れこむ。
俺の腕の中に顔をうずめていたヅラがゆっくりと俺の耳元に這いより言った一言は、あまりにも、あまりにも、残酷で。


「殺して」


ああ、頭もついていかねーわ。
ほんと、どうしちゃったのこの子。
「お前さあ、自分で何言ってるか分かってる?」
「ああ、理解してるつもりだが。」
「ここで死ぬつもりかよ。」
「…ああ。」

涙などもうすっかり乾いてしまった頬は言葉を発する以外にぴくりとも動きはしない。
おい、冗談だとか言って笑えよ、このバカ。



○情緒不安定

__________あなたが、あなたの心が

__________霞がかって、真っ暗で、見えない日。


ヅラの首に手を添えて、ゆっくりと深呼吸した。